しかし彼女は新進気鋭の劇作家であるロイドとの結婚に至るまで紆余曲折があったでしょう。

だからこそ、イヴの行動に恐怖を感じたのではないでしょうか。

若くて才能のあるイヴに自分の立場を壊されてしまう恐怖です。

裏切ったマーゴの結婚宣言で救われた時、彼女は自身の裏切りをひどく後悔したはずです。

真実の物語

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『イヴの総て』は1946年に出版された小説「The Wisdom of Eve」が原作となっています。

本作はスクリーン以外でも女性の野望を感じることが出来るようです。

女優エリザベート・ベルクナー

マーゴは実在の女優エリザベート・ベルクナーがモデルとなっており、『イヴの総て』は彼女の実経験を描いた作品となっています。

エリザベート・ベルクナーは欧州で大活躍していた実力派の女優です。

「The Two Mrs. Carrolls」という劇に出演していたとき、ある若い女優を助けたそうです。

そしてその後、助けた若い女優にキャリアや人生を取って代わられてしまいました。

『イヴの総て』は演劇界の実情を赤裸々に暴露した映画であるにもかかわらず、各方面から絶賛される作品となっています。

この物語が真に迫っているのは実経験から来たものだからなのでしょう。

実際に感じた「映画の裏側」

事実をもとにした『イヴの総て』の裏側でも、女優たちの思惑が渦巻いていたようです。

イヴ・ハリントンを演じたアン・バクスターは、20世紀フォックスを後ろ盾にしてアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされました。

その結果、マーゴ・ファニング役のベティ・デイヴィスとのあいだで審査員の票が割れてしまいます。

そして結局ふたりとも受賞を逃してしまいました。

また、この映画がブロードウェイでリメイクされて上映された際にもひと悶着ありました。

もともと別の女性がやっていたマーゴ役を一年足らずでバクスターが演じることになったのです。

このことは、カーテンの裏側でなにが起こっているのかとさまざまな憶測を呼ぶこととなりました。

このようにスキャンダラスな面があるのも本作に面白みを与えているのではないでしょうか。

夢という名の野心

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『イヴの総て』は、夢を追うという希望の影に潜む闇が描かれていました。

それぞれの女性の立場にたって観直してみると、また違った映画がみえてきます。

女性が夢を掴むということ、女性がキャリアを捨てるということ、現代の社会にも通ずるものがあるのではないでしょうか。

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