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【イヴの総て(ネタバレ)】ラストが意味する闇の深さを徹底解説!劇中に登場する女たちに見るそれぞれの愛と野心と恐怖とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00O4NRT30/cinema-notes-22

『イヴの総て』は1950年に公開された映画で、その素晴らしさは何十年も経った今でも語り継がれる名作です。

当時駆け出し女優のマリリン・モンローが端役で出演していることも、話題になっています。

ブロードウェイの陰謀渦巻く裏側を描く本作品、そのラストシーンに観る闇を解明していきます。

登場する女性たちの愛や野心に注目しながら、華やかなショービジネスの裏で渦巻く人間模様に迫ってみましょう。

ラストシーンに観る闇

 

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イヴは演劇界から早々に手を引いてハリウッドにいきました。

栄光を手にしたイヴですが、映画のラストが意味する闇は何を意味しているのでしょう。

成功の裏には犠牲がある

イヴにとってカレンやマーゴだけではなく、演劇界そのものが踏み台だったのでしょう。

イヴは犯罪を犯したわけではなく、だれかを殺したわけでもありません。

しかし、彼女のやったことは褒められる事ではないのです。

女優としての成功の為に犯した罪といえるでしょう。

周りの人々を翻弄したことは、彼女にとっては自分の成功と幸福のために突き進んだ結果の出来事にすぎません。

ひとりの女優が成功を収める為には、多くの犠牲者が踏み台になってることを示唆しています。

鏡のなかの第二のイヴ

ファーゴはイヴのコートを身につけて鏡に魅入りますが、その姿はかつてのイヴの姿を彷彿とさせます。

イヴがしてきたことを、今度はイヴがされる番だというのがありありとわかりますね。

そして、鏡のなかにいるのは富と権力と名声を求める無数の女たちです。

イヴのような野心家で取り入るのが上手い女性は、常に側で上の者を引きずり降ろそうとしているのです。

時代を経て、世代を超えて同じことが繰りかえされるということでしょうか。

人を落とすやり方ではすぐに足をすくわれる

イヴは確かに実力があったのかもしれません。

しかし彼女のやり方は、人を落とすことで自分が選ばれるというやり方です。

この方法では自分は本当の高みには登れないでしょう。

だから、ラストシーンではそんな彼女を蹴落とす存在が示唆されているのではないでしょうか。

大女優マーゴの不安と愛

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マーゴは押しも押されぬ大女優で、豊かな才能をもちたくさんの人に愛され成功をおさめています。

そんな彼女はどんな不安を抱えていたのでしょう。

年を取り仕事を失うこと

イヴの出現が彼女の心の不安を大きくしたのですが、マーゴはすでに心の奥に加齢への不安を抱えていたのではないでしょうか。

美しさを売りにする女優ならではの不安です。

彼女が40歳というキャリアの節目に立ち、仕事も恋人も奪われてしまうという不安が渦巻いています。

マーゴは気が強いけれど一途で不器用なところが好感を呼んでいるようです。

仕事をやめたら何も残らないこと

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車のなかでマーゴがカレンにもらした思いは、偉大なキャリアを築いてきたマーゴの本心からの苦悩でした。

若さと女らしさをキャリアのために捨ててきた、だからいざ女に戻ろうとしても戻れない。

だけど仕事を失いいつかは女に戻るときがくる

引用:イヴの総て/配給会社:20世紀フォックス

彼女は、いつか自分は引退するものだとわかっていたのです。

しかし引退したら自分には何も残っていないと漏らしています。

ふつうの女性になって恋人を愛するという選択

多くのものを手中にした彼女でしたが、彼女が最後に求めていたのは恋人とともに過ごすことでした。

マーゴは愛する人を一途に想う可憐さを隠し持っていました。

女優として成功するために、多くのものを失って来たはずです。

ビルとの結婚が決まったときのはしゃいだ彼女こそが、本来の彼女の姿だったのではないでしょうか。

野心に生きたイヴの姿

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この映画のオープニングは授賞式ではじまり、授賞式でおわりますが、野心で上り詰めたイヴは、幸せといえるのでしょうか。

イヴは人を陥れる策略を立てていた

カレンに出会う前から、イヴの計画ははじまっていたのでしょう。

  • ヘンテコな帽子をかぶって自分を印象付けた
  • 度数の高いお酒でマーゴの印象を悪くした

など、彼女は自分を高める為に他人を下へ突き落していきます。

マーゴが下へ落ちていくのと対照的に、イヴの株は上がるのです。

計画は成功し野望は果たされた

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イヴはマーゴ抜きでオーディションをして賞賛を受け、ライバルになり得る美しい新人をも陥れています。

彼女の野望は実現されましたが、彼女は本物の幸せを手にしたのでしょうか。

彼女は名声を欲し、まぶしいスポットライトばかり見上げ自分の足元が見えていません。

自分がどれだけ危うい場所に立っているか気づいていないのです。

彼女には信頼できる友人はいないのでしょう。

イヴの未来は闇?

損得勘定で手を組むだけの関係しかもたないイヴは、人生の転換期に誰を頼りにするのでしょう。

賞だけがすべてじゃない、心も大事にしなさい

引用:イヴの総て/配給会社:20世紀フォックス

マーゴは授賞式のさいごにイヴに伝えました。

もしイヴが心を入れ替えることが出来なかったら、マーゴのように愛によって救われることはないのかもしれません。

やはりイヴはマーゴにかなわないということでしょうか。

因果応報なカレンの恐怖

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カレンは献身的に夫を支える良き妻であり、野心に生きた人物ではありません。

因果応報となった恐怖

カレンはマーゴを裏切りイヴに加担します。

マーゴの日々の態度をみれば仕方のないことなのかもしれませんが……。

しかし彼女のこの軽率な態度が、後で自分の首を絞めることになっています。

カレンが示しているのは、人の本質を見抜けない女性です。

イヴは確かに悪女です、しかしそんな彼女を作り上げたのはカレンでもあるのです。

自分の立場を壊されるという恐怖

彼女には突出した才能はありません。

しかし彼女は新進気鋭の劇作家であるロイドとの結婚に至るまで紆余曲折があったでしょう。

だからこそ、イヴの行動に恐怖を感じたのではないでしょうか。

若くて才能のあるイヴに自分の立場を壊されてしまう恐怖です。

裏切ったマーゴの結婚宣言で救われた時、彼女は自身の裏切りをひどく後悔したはずです。

真実の物語

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『イヴの総て』は1946年に出版された小説「The Wisdom of Eve」が原作となっています。

本作はスクリーン以外でも女性の野望を感じることが出来るようです。

女優エリザベート・ベルクナー

マーゴは実在の女優エリザベート・ベルクナーがモデルとなっており、『イヴの総て』は彼女の実経験を描いた作品となっています。

エリザベート・ベルクナーは欧州で大活躍していた実力派の女優です。

「The Two Mrs. Carrolls」という劇に出演していたとき、ある若い女優を助けたそうです。

そしてその後、助けた若い女優にキャリアや人生を取って代わられてしまいました。

『イヴの総て』は演劇界の実情を赤裸々に暴露した映画であるにもかかわらず、各方面から絶賛される作品となっています。

この物語が真に迫っているのは実経験から来たものだからなのでしょう。

実際に感じた「映画の裏側」

事実をもとにした『イヴの総て』の裏側でも、女優たちの思惑が渦巻いていたようです。

イヴ・ハリントンを演じたアン・バクスターは、20世紀フォックスを後ろ盾にしてアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされました。

その結果、マーゴ・ファニング役のベティ・デイヴィスとのあいだで審査員の票が割れてしまいます。

そして結局ふたりとも受賞を逃してしまいました。

また、この映画がブロードウェイでリメイクされて上映された際にもひと悶着ありました。

もともと別の女性がやっていたマーゴ役を一年足らずでバクスターが演じることになったのです。

このことは、カーテンの裏側でなにが起こっているのかとさまざまな憶測を呼ぶこととなりました。

このようにスキャンダラスな面があるのも本作に面白みを与えているのではないでしょうか。

夢という名の野心

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『イヴの総て』は、夢を追うという希望の影に潜む闇が描かれていました。

それぞれの女性の立場にたって観直してみると、また違った映画がみえてきます。

女性が夢を掴むということ、女性がキャリアを捨てるということ、現代の社会にも通ずるものがあるのではないでしょうか。