亮司の死は自分の唯一の味方を失ったことを意味しています。
しかし彼女の隣には、三枝という力強い味方が現れました。
彼女は寄生虫のように次の味方へと心を移していくのでしょう。
雪穂の微笑みの底には、亮司が守ってくれたという安堵感と次の味方がいて良かったという気持ちが隠れています。
また、自分たちの罪を裁けない世間へ対しての勝算のほほえみだったのかもしれません。
感謝のほほえみ
雪穂と亮司の絆を強いものと観た場合、死さえも絆の証だったと考えられます。
多くの言葉を交わしていた二人ではありませんが、気持ちは通じていたはずです。
亮司が死んだこと、自分が知らないと一蹴したこと……。
全てがこれでいいんだよね、という亮司へのほほえみだったのかもしれません。
実際に亮司は、雪穂が捕まることを望んではいないのです。
雪穂の闇
劇中で雪穂は母親に、虐待にも似た性的暴行を強いられていました。
彼女も持つ闇の根源が母親であるのはいうまでもありません。
子供時代に培われた闇
虐げられて育った子どもは、親から受けた行為と同じものを他人へ向けるといわれています。
劇中で気に入らない人物を次々とレイプさせたのも、子供の時の経験がさせるものなのです。
雪穂は自分の困難をレイプや殺人といった方法で潜り抜けていきます。
この行動は子供時代の経験が原因で、大人に虐げられてきたから彼女の攻撃性が強くなっていったのでしょう。
雪穂は罪悪感を持たずに罪を重ねているように観えます。
彼女の持つ闇は心が育っていないこと、心を失っていることです。
自分がされて辛かったことを他人にもするのは、ひどすぎる行動ですが虐待を受けて育った子供は、成長すると同じことをしてしまうのでしょう。
亮司を愛することも出来なかった
亮司と雪穂は二人でひとつの存在だったともいえます。
しかし雪穂が亮司に愛を向けることはなかったでしょう。
亮司は自分の寂しさを埋める存在というわけではなく、一緒にいて幸せを感じる存在でもありません。
自分には太陽に代わるものがあり、その光によって夜を昼と思って生きてくることが出来た
引用:白夜行/配信会社:ギャガ
雪穂は亮司を自分を救う光といっています。
彼女は自分が欠如している部分を彼に求めていたのです。
亮司の闇
亮司には親の裏切りによって闇が生まれています。
偏った愛
亮司は父親の行為の罪滅ぼしの為に雪穂を守っていきますが、そこには「愛」が隠されています。
父親を殺したのは衝動的ともいえる怒りですが、人を殺したことで彼の中の良心は崩壊したのかもしれません。