しかし、この時自分では気が付いていない心の奥にマーガレット(ポーラ)を離したくないという思いがあったのでしょう。
まるでプロポーズのようにも聞こえます。
このセリフが巧みな理由は、かなり思わせぶりな言い方にあるのではないでしょうか。
女性の心をときめかせるような言葉を投げかけた後、仕事上の話だからと告げるのです。
ほんの少しですが、チャールズの色男ぶりが見え隠れするシーンといえるでしょう。
マーガレットの話を受け流す姿
ああ、そうだったね
引用:心の旅路/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
マーガレットの結婚話に興味がないかのようなセリフですが、真実は異なるのではないでしょうか。
おそらくチャールズは、マーガレットの口から他の男の話を聞きたくなかったのです。
勿論、この時点では彼女への愛に気が付いておらず無意識でしょう。
直ぐに仕事の話に切り替えたのもそのためです。
ダンディなチャールズですが、恋に不慣れの青年のような言動が楽しめます。
事故で記憶は消えるのか
劇中のチャールズのように事故で記憶が消えてしまうことはあるのでしょうか。
ある時点から過去、昔の記憶がなくなってしまう症状
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/健忘
チャールズのような症状を「逆向性健忘」といい、現実に起こりうる病気です。
しかしチャールズは大きな怪我を脳に受けた訳ではなく、事故に遭ったというショックから記憶を失っています。
これは「解離性健忘」といわれ、事故による心のストレスが原因です。
ある一定期間の出来事だけ抜け落ちてしまうこともあるようで、劇中のチャールズはまさにこの状態です。
なんとなく覚えていても実感がわかないこともあるようです。
もしかしたらチャールズはマーガレット(ポーラ)の顔をなんとなく覚えていたのかもしれません。
キティが見抜いたチャールズの心
劇中でキティは潔く身を引いていますが彼女が身を引いた理由は一体何だったのでしょうか?
自分を見ていないと気が付いた
私を通して誰かを見ている、かつての誰か
もっと早く気付くべきだった
引用:心の旅路/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
教会でのキティのセリフですが、とても切ないシーンです。
彼女はチャールズと一緒になりたいという想いから、彼が他の人を見ていることに気付きながらも目をつむっていたのでしょう。
チャールズが無意識で誰か(ポーラ)を思っていることを、チャールズより先に感じ取っていたことになります。
不安を感じていた
キティは二人で食事をするシーンでも、チャールズの仕草に表情を曇らせています。
この時からチャールズの心に誰かがいるかもしれないという不安を感じ取っていたのでしょう。
愛しているからこそ気が付いたチャールズの心です。