筆者であるJ・R・R・トールキンは第二次世界大戦中に原作「指輪物語」を執筆しています。
その為、描かれた人間性については戦争が大きく影響していたのではないかと思われます。
ホビット族にみる人間性
主人公フロドは穏やかな性格を持つホビットの青年です。平和を好むホビット族ですが旅を通して複雑な人間関係を見せてくれます。
共に足を進めるサムとゴラムは、時に友人として時に罠を仕掛ける敵として様々な顔を見せてくれます。
この3人の旅の様子は、人と人との関係が簡単に敵味方に分かれることを示唆しています。
正義感溢れる決意の旅
指輪を捨てる旅は過酷を極めますが、そんな中なぜフロドは一人旅(結局3人旅)を決意したのでしょうか?
そもそも平和を愛し、もめ事を嫌うはずのホビット族がなぜ危険な旅を決意したのでしょう。
ガンダルフがフロドを選んだ理由は無害だったから
映画を考察していくと、なぜ指輪を捨てに行くのがホビット族のフロドでなくてはならないのかという疑問がわいてきます。
神の世界から遣わされた魔法使いガンダルフがフロドを選んだ理由のひとつは、ホビット族が平和を望む種族だった為と考えられます。
他の種族は指輪に支配され、自らが王になろうとするかもしれない。ホビット族ならそのリスクが一番少ないのです。
また元ホビット族のスメアゴルのように、指輪の誘惑に負けても世界を滅ぼす存在にはならないと考えていたのかもしれません。
種族が違っても仲間という意識
選ばれたフロドはホビット族ですが、彼らを考察すると仲間を必死に守ろうとしています。
ホビット族は仲間意識が強い種族です。
フロドはエルフの国での会議中に、指輪に映し出される皆が炎に包まれる光景を目にします。
この時仲間を守りたいという思いが強く込みあげたのでしょう。
種族を超えた仲間の為にモルドールの炎に指輪を捨てに行こうと決意したのです。
仲間を危険にさらしたくない
過酷な旅ならば仲間がいた方が心強いはずです。しかしフロドは仲間を置いてひとりでモンドールの炎に向かおうとします。
その理由は仲間を犠牲にしたくないからです。指輪の力によって仲間を失うことを恐れた為の決断でした。
またアラゴルンのように自分が指輪に支配されてしまうかもしれないという理由で、仲間たちも自ら同行をあきらめています。
なぜ誘惑から逃れられたのか
指輪は自ら意思を持ちサウロンの元へ戻ろうとしています。それを邪魔する者たちを誘惑し狂気を生み出すのです。