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1986年公開の「ミッション」は、1750年の南米アルゼンチンとパラグアイの国境での歴史的実話を元にしたキリスト教の原住民への布教の真実とその結末について描写した宗教的な深い背景があるストーリーです。
今回はそのストーリーをズバリ、タイトルの「ミッション」をキーワードに解説していきます。また主題歌にまつわるエピソードや関連するテーマの最近の作品についても言及していきます!
現代に「ミッション」は存在するのか徹底検証!
2019年の「ミッション」とは?
本作では、ガブリエルやメンドーサが望んだ「ミッション」は、それぞれが到達したかった場所の見解の相違から、本来の意味からかけ離れてしまいました。
その結果、真逆の結末をもたらしてしまいます。結論から言えば、世界的に共通の「ミッション」が存在するのは困難な状況になりつつあります。
日本では / 形だけの「布教」は根深く存在する
冠婚葬祭にまつわる宗教は、かろうじて形だけ残っています。
90年代から00年代は、新興宗教の名の下、創始者とそのスタッフにとっての、「理想郷」が乱立しました。
マスコミのエスカレートした報道も過熱し、洗脳が解けきらない元信者や、被害者とのトラブルが頻発してしまいました。
2010年代を振り返って、政府与党の営みを現代の宗教として考えると、状況は悪化する一方です。
創始者が「自由」や「民主」などの使い古された言葉を標榜して、夢想したユートピアとは程遠い、自分たちの利益追求だけに暴走した報いかもしれません。
限りなく日本はディストピアに急激に堕しようとしているように見えます。
世界では /状況は悪化の一途?
250年以上前の本作の舞台より、本質的には事態は悪化の一途を辿り、世界的に貧困層と富裕層の経済格差は広がる一方です。
列強が拡大できる領土が、無限に広がるわけでもありません。経済力も権力もない中間層が、色々な形で搾取され続けているのが現状です。
その結果、中間層の不満を吸収するための「暴君」が必要悪?として各国に生まれてしまうという悪循環が進行しつつあります。
2020年代に本作が示唆するものとは?
そんな閉塞的で、未来への希望が描き辛い状況で、これから個人が何を考え、何を求めて、日々を過ごしていくのか?
ガブリエルとメンドーサの劇中の言動の中でそれが具体的に示唆されています。
公開から約30年経った2019年の今もそれは人間の無意識の中で、着実に受け継がれています。
ミニマムな繋がりを保ち、いざという時に爆発的に花を咲かせるという希望に対峙しながら個人が日々出来ることを積み重ねていく、というスタンス。
アルタミラノ枢機卿がローマ法王に書き送った手紙の最後の一文「死者の精神は生きる者達の記憶の中に生き残る」に最大の希求が集約されています。