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【エリザベス】エリザベスにとっての「偉大な存在」とは何か徹底考察!彼女の強さの根源はどこに?不遇の時代に何を学んだのか

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B007TSLCAS/cinema-notes-22

イギリス映画の「エリザベス」はエリザベス1世の半生を描いた歴史映画です。

2007年には続編「エリザベス ゴールデン・エイジ」も制作されるなど世界中の注目を浴びています。

独身を貫いたエリザベス1世のスキャンダラスな一面を上手く描きだしました。

また陰謀や暗殺に翻弄され続けた彼女の半生をリアルに描き人間としての在り様も考えさせられる作品です。

エリザベス1世にとって「偉大な存在」とはどのような存在だったのか、不遇の時代を経て彼女が強くなった理由とは……。

史実と比較しながら映画「エリザベス」を徹底解明していきましょう。

映画をすっきり見る為に

【地図】1799年 クレメント・クルットウェル社発行 スコットランドの地図 アートプリントポスター  1799 CLEMENT CRUTTWELL MAP SCOTLAND 2882PYLV

英語のまま映画を観ていれば、さほど問題にはならないのですが、字幕や吹替で映画を観ると思わぬところで苦戦します。

英国ではない

字幕では「英国」という表記がされますが、これをこのまま読み取ると話が進むうちに何が起きているのか少々理解に苦しみます。

というのも当時、英国(イギリス)という国は分裂しており、エリザベスの治めるイングランド国とメアリー・スチュアートの治めるスコットランド国に別れています。

いうならば英国は存在していないのです。

2つの隣接する国とそれを取り巻く、各国の勢力争いという背景です。

スコットランド国王のメアリー・スチュアートはフランス王妃であった過去もあり、大きな力を持つフランスに支持を受けています。

エリザベスの継いだイングランド国は、政治的にも軍事的にも弱かったといえますね。

この複雑な状態を「英国」と綴られると、何を争っているのかわかりにくくなります。

イングランドとスコットランドを念頭にいれ鑑賞していきましょう。

時代背景

歴史的な映画を観る時は、時代背景を知っておくと楽しさが2倍に膨れ上がります。

エリザベスの時代は16世紀、スペインやフランスが勢力を持っていました。

エリザベスの治めたイングランドはいわゆる辺境の地で、王族は強い国家との婚姻関係をもって国を保護してもらっていたのです。

更に女性の政治介入を大半の人が良しとしない時代です。

これらを踏まえると、エリザベスに降りかかった問題の数々がすんなり納得できます。

劇中には描かれていませんが、エリザベスは弱小王国を世界一の国家にのし上げた優れた女王となります。

偉大な存在とは

Gifts Delight ラミネート加工 33x20 ポスター:エリザベス1世の英国エリザベス1世女王1533-1603 Pt 23

劇中で女王となったエリザベスは「偉大な存在」になろうとします。

彼女が目指した理想の姿とはどのようなものだったのでしょうか。

民が神々しさを感じる存在

エリザベスは母を身勝な父親に殺され庶子として育ちました。その為か反対勢力の人々はエリザベスをずっと庶子とみなしています。

庶子が女王となるのはおかしい、というのが反対勢力の言い分です。

そこで民衆の支持を得る為にも「偉大な存在」となる決意をしたエリザベスは、神々しさこそ偉大であると考えます。

未婚の示すものは神格化

エリザベスは自身を神格化して国を建て直そうと邁進します。

また民を思い、自分は臣民と結婚したといいきるなど国を内側から強くしようと行動しています。

偉大な存在とは、揺るぎない地位であり絶対君主の頂点に立つ人物だという認識もあったことでしょう。

エリザベスは晩年も若く美しい肖像画を描かせています。

政治的プロパガンダとの意見もあり、これも自分を神格化させる作戦だったのではないでしょうか。

大きな権力を握るもの

エリザベスは、権力に翻弄され不遇な時代を過ごしてきました。

それゆえ権力を持つということがどのようなことか身をもって理解していたのです。

大きな権力を持つものは、全てを掌握できる偉大な存在と感じていたのかもしれません。

その為エリザベスは女王となって即位後、過剰な宝石を身に着けます。

多くの歴史家はこの着飾った姿こそ、権力誇示の表れだと指摘します。

見た目から入るエリザベスの巧妙さ

エリザベスは、ウォルシンガムにより国民は偉大な存在を崇拝したがっていると聞き、これまでの見た目を大きく変えます。

真っ白過ぎて表情が読めない顔に、鬘をかぶり「特別な人」に変貌しました。

ヴァージンクイーンを語ったエリザベスは崇拝すべき対象になったのです。

エリザべスの容姿

Gifts Delight ラミネート加工 19x15 ポスター:エリザベス1世のイギリス‐トゥルーボーラーズ‐絶対君主5‐ミセ・ガービンズ世界歴史。

劇中でもインパクトを放つエリザベスの容姿について、徹底した白塗りを行うその理由を覗いていましょう。

史実では白粉が大流行

エリザベスの時代、女性達は白粉をこれでもかというほど顔につけていました。

しかし当時の白粉は質が悪く鉛を多く含んでいた為、肌荒れも凄かったようです。

それでも女性達は白塗りをやめることはありませんでした。

エリザベスは女王は気高く美しくあるべきものと考えていたので、誰よりも白い肌を目指していたのでしょう。

また史実では29歳でエリザベスは天然痘にかかり以後、鬘を常用していたようです。

顔や頭にも醜い跡が残っていた可能性もあります。

メアリー・スチュアートを上回るように

ライバル視されていたスコットランドランドのメアリー・スチュアートは、大変優れた美貌を持っていました。

そのことがエリザベスの勝気な性格に火をつけたのは間違いありません。

メアリー・スチュアートの容姿などの情報を報告させており、対抗心を燃やしています。

女性としての意地が垣間見える話ですが、その裏にはイングランドの王位継承権という壮大な根源が眠っています。

エリザベスは是か非でもメアリー・スチュアートに負けるわけにはいかなかったのです。

オリジナルのファッション文化を生み出した

Elizabeth I [Import anglais]

当時イングランドはスペインやフランスのファッションを真似していました。

しかしエリザベスは独自のファッションを生み出しています。

後にエリザベスカラーとまで呼ばれる、彼女を象徴したかのような巨大な襟や袖の部分の膨らみ方も尋常ではありません。

またイングランドの真珠がなくなるとまでいわれた程、多くの真珠を身に着けています。

しかし彼女はファッションリーダーになろうとしたわけではないはずです。

誰にも負けたくない、見劣りしたくないというエリザベスの性格が生み出したファッションなのでしょう。

エリザベスの強さの根源は不遇の時代にあった

エリザベス女王1世小彫像ー有名人顔コレクション石膏胸像

劇中では暗殺や裏切りにあいながらも力強く立ち上がります。

そしてついにザ・ヴァージン・クイーンとして君臨するエリザベスですが、彼女の強さの秘密は一体何なのでしょう。

不遇の時代を乗り越えた

エリザベスは王女という恵まれた立場に生まれつつも、その幼年期は不幸なものでした。

更に異母姉であるメアリー1世には疎まれ、投獄までされています。いつ死刑になってもおかしくない状況だったわけです。

しかしそんな逆光の中を生き延びてきたことが、彼女の心を強いものに育て上げたのです。

またエリザベスは強運の持ち主ともいえるでしょう。

世の中の汚い部分をすべて経験してきた

彼女は不遇の時代の中で、人の醜さや嫉妬、陰謀や権力欲など様々な物を目の当たりにしました。

王宮の中で何も知らずに育った王女様ではありません。人は裏切るものだということを痛いほど経験しているのです。

だからこそ相手の本心を探ることも出来、のちに近隣諸国を手玉に取るような政治を繰り広げることが出来るのです。

エリザベスにとってつらい過去が奇しくも彼女を強く育てていきました。

恋人の裏切りが彼女を強くした

劇中にも語られているようにエリザベスは、普通の女性のようにロバート・ダドリーとの恋を謳歌していました。

しかし自分の恋人が既婚者であり、更に自分の暗殺計画に加わっていたことを知り、そこから強さを爆発させます。

愛していた者の裏切りを経験し、自分の弱い心を捨てたのです。

不遇な幼年期を過ごし愛に裏切られ、エリザベスは全てを拒絶するかのように攻撃的に、鉄壁の防御を張り巡らしていくのです。

マリア像の前の断髪は、弱気を捨て去る彼女のけじめなのでしょう。

高いプライドを忘れてはいなかった

幼い頃に父親に母親を殺され、庶子として育ったエリザベスですが彼女の心の中には王女としてのプライドが根付いていました。

だからこそ度重なる裏切りをも乗り越え、自分へ向けられた暗殺計画に真っ向から立ち向かうことが出来たのです。

彼女が王女としてのプライドを失っていたら、エリザベス1世の御代は訪れなかったでしょう。

また元々気位が強い女性だったともいえます。

ライバルの存在がエリザベスを強くした

メアリー・スチュアート

エリザベスには二人のメアリーというライバルが存在します。

彼女たちの存在がエリザベスの刺激となり、彼女の強さへと形を変えていきました。

義母姉メアリー1世

メアリー1世は母親を王妃から貶めたアン・ブーリンの子であり、女王としてのライバルとなるエリザベスを心から憎んでいました。

エリザベスはメアリー1世によって投獄され「自分の死」が目の前にちらつきます。

この時の恐怖をエリザベスは忘れることはなかったのではないでしょうか。

周囲の流れで、自分が危機に立たされるという経験をしたのです。

エリザベスの行動が慎重で他を寄せ付けないものとなっていくのは全て彼女の経験からくるものなのでしょう。

またメアリー1世はスペイン王フェリペ2世と結婚したことで、フランスとの戦に巻き込まれ窮地に立たされています。

エリザベスは義姉のように他国に支配されぬよう、他国から夫を取らず生涯独身を通しています。

スコットランド王メアリー・スチュアート

劇中では語られませんが、エリザベスと同時期にスコットランドを治めていたメアリー・スチュアートがもう一人のメアリーです。

メアリー・スチュアートこそイングランド王にふさわしいとの声を受け、エリザベスはかなりの対抗心を燃やしていたことでしょう。

ことあるごとに彼女の上を行こうと努力していました。メアリー・スチュアートの存在がエリザベスを成長させたのは間違いありません。

史実のエリザベスには男性説も存在する

図説 エリザベス一世

劇中では恋人に裏切られ、女としての幸せを捨てたエリザベスですが歴史を覗いてみると、少々気になる逸話が残されています。

エリザベス1世は男性だった

生涯をイングランドの為に費やし独身を貫いたエリザベスですが、一説では結婚出来なかったのではないかとも囁かれています。

その理由が男性だから。

エリザベスは背が高く、実際に使用していた手袋を見ると指が異常に長く顔も男性的といわれています。

また偉大な存在をアピールしていた異様な白塗り化粧やかつらは男性であることを隠す為ともいわれています。

さらに首の周囲につけている襟はのどぼとけを隠す為とみられています。

コッツウォルズに残る祭り

エリザベスの男性説は見た目だけではありません。

エリザベスは10歳の時に疫病を避ける為コッツウォルズ村で過ごしました。

しかしこの時エリザベスは疫病にかかり死亡したともいわれています。

しかし周囲の者は残虐な父王に娘の死がばれないように、顔立ちや背格好の似た男子を女装させてエリザベスとしました。

コッツウォルズ村には、男の子を女装させるお祭りが今でも残っているそうです。

またコッツウォルズ村では、エリザベスの時代の宝石がちりばめられたドレスを着ている骸骨を聖職者が見つけたという話もあるようです。

権力欲と女性の本質を上手く描いた作品

エリザベス:ゴールデン・エイジ [DVD]

「エリザベス」は人の心に住む欲望や宗教的な争いを見事に描いています。

ごく普通の少女として生まれたエリザベスが女王としての絶対的な地位を得るまでの物語です。

エリザベスが苦悩する姿は、一人の人間として身近に感じる瞬間でもあります。

不遇の時代を経験したからこそ、揺るぎない女王となることが出来たのです。しかしエリザベスの物語はここで終わりません。

イングランドを世界一の強国にのし上げたエリザベスの続編「エリザベス/ゴールデン・エイジ」も合わせて楽しみたいものです。