時折、自身の持つ感情の制御が上手くいかず爆発してしまう様子が描かれています。
感情を押し殺す彼とは対照的に、カークやマッコイと触れ合うことで友情というものを知っていくのです。
特に任務におけるカークからの信頼は厚く確かなものとなりました。
マッコイとスポックとカークの関係性について
マッコイは、カークにとっては親しみを込めて愛称で呼ぶ間柄で、人生相談の相手でもあります。
一方、スポックとは、“油と水”の仲なのもストーリーを盛り上げる要素となっていました。
感情的なマッコイと冷徹なスポックはしばしば激しい口論になることも。
しかし2人の間には、信頼関係に基づく友情があり、『口論』が滑稽にみえることもあります。
このカーク、スポック、マッコイの3人は、互いの個性を補い合うようにして、エンタープライズ号を支えていると考えてよいでしょう。
スポックの成長が窺えるシーン
重要人物達との関わりの中で成長していくスポックですが、具体的にどのようなシーンでその様子が確認できるのかを解説しましょう。
スポックとカークの乱闘
スポックとカークの乱闘騒ぎは『スター・トレック』(2009)の中に出てきます。
未来からきたスポックの助言に基づきカークはわざと母親のことを馬鹿にすることにしました。
母親をカークに馬鹿にされ、いつもは冷静なスポックが逆上してしまうシーンです。
この時はまだ自身へのコンプレックスがあり、自制心によって感情を無理に押さえつけている感情が見事に描かれていました。
スポックと未来から来た老人スポックとの会話
同じく『スター・トレック』(2009)で、未来から来た自分との会話の中でカークとの友情を築くようにとアドバイスしました。
また、理論を脇において正しいと思う道をたどれと言い残して立ち去るシーンがあります。
このシーンでは、スポックは言われている意味が分からずにいますが、後に諭されたことの意味を理解できるようになっていきます。
スポックの命懸けの修理
『スター・トレック2 カーンの逆襲』の中で、カーンはジェネシス計画の調査でチェコフを利用してカークへの復讐を果たそうと企みます。
カーンとの戦いで損傷したエンタープライズはワープ航法が使えずに脱出出来ないでいました。
その時、スポックは放射能で汚染された空間にたった1人でワープエンジンを修理します。
スポックのカークへの最期の台詞に込められた覚悟の表れ、仲間を大切に思う気持ちがよく出ているシーンということができるでしょう。
仲間達とのしばしの休暇
『スター・トレック5 新たなる未知へ』の中でカーク艦長とスポック、マッコイの3人が楽しそうに普通のキャンプをしている様子が描かれています。
この頃になると、仲間達ともすっかり打ち解けているスポック。
1~6作品のシリーズを通して、自身が混血であるということのコンプレクッスも和らいでくようです。
そしてカークやマッコイとの交流を経て、自分の人間性を受容できる程成長しました。
スポックが感情を捨て去った理由
映画ではスポックが感情を捨てて振る舞うシーンが登場します。初期の頃のシーンに特に多いですね。
なぜ、スポックがそのように感情を捨ててしまうに至ったのかをみていきたいと思います。
スポックにとって“感情”とは
スポックにとっての感情とは何かを考えるうえで、“母”の存在は重要なキーワードです。
知っての通り、純粋なヴァルカン人ではないスポック。
なぜ自分だけがこのような感情を有するのか。
人間の母を持つことを理由に差別されなくてはならないのかという葛藤があったのではないかと考えます。
しかしながら、アマンダのことを嫌いなのかというとそうでもありません。
『スター・トレック』(2009年)のなかで、ロミュラン人であるネロに母アマンダを含む多くの住民を道連れに、ヴァルカン星が滅びてしまうシーンがありました。
母を失って失望するスポックの描写や、カークに母親を馬鹿にされた時の怒りなど、押さえつけていた感情を爆発させてしまうのです。
これらのシーンからも分かるように母親への愛の描写がされています。
本人は最初、“鬱陶しいもの”と考えていたようですが、「喜び」「悲しみ」「憎しみ」「怒り」などの“心”を理解するようになりました。
これは『スター・トレック』1~6作品のシリーズでの信頼関係やカーク、その他の仲間の影響が大きいのではないでしょうか。
ヴァルカン人の教育と自己アイデンティティの葛藤
ヴァルカン人の教育は典型的詰め込み方式です。
論理的思考を身に着けること、また徹底した自制心を身に着ける事こそが喜びとする種族です。
そもそもスポックは純粋なヴァルカン人ではなく、人間の母・アマンダとヴァルカン人である父・サレクの間に生を受けた混血児です。