親が仕事で来れないと平気で嘘をつく翔は、自分だけが楽しんではいけないと自分を押し殺していました。
マットを菜穂と運ぶように言われ、重たいマットを運んでいた時のことでした。
翔は足首を痛めてしまっていたことと、気持ち的にも落ち込んでいた為に元気がなかったのです。
そんな翔の変化に気付いていたのは菜穂だけではありませんでした。マットを全員で支え、翔の悩みを聞きます。
母親が死んでしまったことや、自分だけが楽しそうにしてはいけないと思っていること等、話せなかったことを話します。
そんな翔にみんなが声をかけていきます。
重かったら無理して持たなくてもいいんだよ、俺たちがいるから。
大丈夫。みんなで持てば重くない。
引用:orange/配給会社:東宝
須和が放ったその言葉は、マットのことではないでしょう。翔が抱える悩み=マットだったのです。
翔は自分一人で抱えていた悩みに押し潰されそうになっていましたが、その悩みもみんなで抱えたら軽くなります。
そんな意味を含んだ言葉に、救われたことでしょう。翔だけが辛い思いをしなくても良くて、周りを頼ることを知りました。
マットを離すことで、自分だけが抱えなくても周りが支えてくれるということを実感したのです。
翔の決断を思いとどまらせた理由
翔とのより深い関係性の構築
東京で暮らしていた頃、学校でうまくいっていなかった翔は不安で長野の学校に来ます。
転校してすぐに須和に一緒に帰ろうと言ってもらったことが嬉しくて母親との約束を破ってしまいました。
自分の対応が母親を自殺に追い込んでしまったと自分を責めながら日々を過ごします。
そんな自分の感情を見せないように、学校では過ごしていたのです。
未来からの手紙があったから、菜穂や須和達は翔と過ごす日々を大切にするようにします。
いつだって特別な思い出を作り、翔が辛そうな時には無理矢理にでも話を聞き出しました。
特別なことを言ったり、することはできませんが、いつでも寄り添って翔と付き合っていったのでした。
10年後の菜穂は翔と喧嘩したら、仲直りできずにそのまま翔は亡くなってしまいます。
しかし、現在の菜穂は仲直りするだけでなく、翔の本当に考えていることを聞き、自分の想いも伝えることをしました。
翔と過ごす日々で、菜穂も成長させられていたのです。
翔のみんなに対する強い想い
菜穂と仲直りをした日、翔は思いの丈を話しています。
自分が生きている意味も分からなくなり、優しくて大好きな友達からも逃げ出したくなってしまっていました。
母親に対する謝罪の気持ちが絶えず心にあり、自分も母親の元へ行き謝罪をしたいと思っていました。
そして恋をした相手の菜穂から、嫌な部分を見せたことで嫌われることが怖くて仕方なかったのです。
しかし、大晦日母親から自分に宛てたメッセージを聞き、死にたいという衝動に駆られます。家を飛び出して、自転車で走っていました。
10年後の世界の翔はここで自らトラックに突っ込んでいき命を落としてしまいます。
しかし、現在の翔は同様にトラックの前に来た時、みんなと作り上げた思い出が蘇ってくるのです。
その瞬間にこれからもみんなといたい、死にたくないと感じました。
亡くなってしまった頃とは比べ物にならない絆が翔とみんなの中に構築されており、翔の負の感情を上回ったのです。