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2004年に日本で公開されたアメリカ映画「21グラム」。
人間は死ぬときに21グラムだけ軽くなるという信じ難いキャッチフレーズが、多くの人の関心を引きつけました。
本当に魂の重さは21グラムなのでしょうか。
そして、最終的に3人の登場人物たちは全員不幸になってしまったのでしょうか。
魂の重さは測れるのか
20世紀の初め、今から100年以上前に「死んだら人間の体重は軽くなるのか」という実験が行われた。
どんな実験をしたのか
末期の結核患者が横たわっているベッドに重量計測装置を取り付け、患者が死ぬ瞬間を待ちました。
そして死ぬ前と死んだ後の重さを比べたのです。すると人間は死後21グラム軽くなっていました。
つまり、軽くなった21グラムは魂の重さだという実験結果になったのです。
疑惑の実験結果
しかし、本当に21グラムは魂の重さなのでしょうか。それ以前にそもそも魂に重さなんてあるのでしょうか。
実験結果を聞いて、このような疑問を持った学者が何人かいました。
彼らの批判はもっともでした。なぜなら実験自体に信憑性がなかったからです。
それはどういうことでしょう。
実験の信憑性
まずは結核患者のベッドに取り付けた装置が、本当に正確に測れる機器だったのかという点。
現在私たちが使っている体重計などの機器はとても精密ですから、計測の結果も信頼できるものでしょう。
しかし、この実験は100年以上も前に行われたことを忘れてはいけません。
当時の測定器がどれだけ正確に測れたのかは、わからないところです。
その次に問題視されたのが、実験対象が6名しかいなかったことです。しかも、実際に死後重さが軽くなったのは1名のみ。
その1名の実験結果だけ発表したのですから、異論が出てもおかしくありません。
ただいえることは、人間は死んだら21グラム軽くなるという実験が、100年以上経った今でも人々を引きつけてやまないということです。
監督が織りなす作品の世界観
映画「21グラム」の監督を務めたのはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
彼は2000年、生後数日で死んだ自分の息子のために制作した「アモーレス・ペロス」で長編映画監督デビューしました。
そして次の作品となる「21グラム」にも、息子を亡くした喪失感を色濃く反映させているのです。
実生活で愛するものを失った監督だからこそ、3人の男女の苦しみや憤りをリアルに表現できたのでしょう。
左胸を撃ち抜いたポールの2つの想い
せっかく移植手術をした心臓を撃ち抜いたポール。自分の命が惜しくないのでしょうか。
撃つしかなかった
目の前で、クリスティーナがジャックを殴り殺してしまいそうなのに、止められないポール。
クリスティーナを力ずくで抑えることも、声をあげて仲裁することもできない体にまで弱り切ってしまっていました。
そんなポールにできた唯一の行動が、全ての発端となった心臓を撃ち抜くことでした。