その後ソフィアは牢獄に入れられ、8年もの期間、外に出ることは出来ませんでした。
かつての覇気もなくなっており、髪には白髪が多く、顔は殴られすぎて腫れたままでした。
正しいことを正しいと言っても、その言葉が白人の意見の反対であれば、迫害を受けてしまうような時代だったのです。
黒人が白人に立ち向かうと、このような目にあってしまうのでした。
心の支えネティとシャグとの奇妙な友情
唯一自分を愛してくれた妹・ネティ
小さい頃から仲が良く、いつも一緒にいた妹のネティは可愛い娘でした。
その端正で愛くるしい表情に加え、明るく頭も良い子だったのです。
父親やミスターのような、人の道を少し外れているような大人の男性に目を付けられアフリカへと逃げました。
無理矢理、離されてしまったセリーとネティを繋ぐものはネティからの手紙だけでした。
しかし、その手紙もミスターによって阻まれ、何十年セリーの手元に届くことはなかったのです。
それでも、毎年ネティは絶えずセリーに手紙を書き続けました。
いつ読んでも状況が分かるように、丁寧に書いていたのです。
アフリカで色んなことを経験していく度に、セリーに見せたい話したいと感じ、片時もセリーのことを忘れる事はなかったのです。
夫の愛人・シャグとの間に芽生えた友情
夫の愛人として、家にやってきたシャグは、初めはミスター同様セリーをバカにしていました。
しかし、病気になった自分に丁寧に看病をしてくれるセリーに心を開くようになります。
そして、シャグはセリーの曲まで作り、二人の間には奇妙な友情がめばえていました。
自由で誇り高いシャグは、セリーの憧れる存在となっていきました。
自由を夢見る事さえしなくなっていたセリーはシャグのおかげで、また自由を夢見るようになります。
セリーが誰からも愛されたことがないと話した夜には、シャグが優しくセリーを抱きしめ愛を注ぎました。
ネティが生きているかどうかも分からない時に現れたシャグは、暗闇に指す光だったのです。
一度はセリーを置いて、家を去ってしまったシャグでしたが、最後にはセリーを連れ出してくれました。
セリーが亡き父の遺産として家を手に入れたときには、近くに引っ越してきたりと、最後までセリーのことを気にかけてくれていました。
セリーの手の上で踊らさせられていたミスター
セリーの全てを自分が支配し、指図通りに動いているつもりだったミスターは実はセリーに踊らされていたのです。
ミスターを憎みながらも、長年を共に過ごしていたセリーはミスターの性格をよく分かっていました。
ミスターが家のことを何もわかっていないことも、ミスターが忘れ物をするものも全て分かっていました。
ミスターが大声を張り上げて騒ぎ立てても、セリーにとっては、おかしいことばかりになっていたのです。
ネティからの手紙が来なくて落ち込んでいても、傲慢なミスターが手の上で踊っている状況がセリーにとっては息抜きのようになっていました。