高校生という期間は人生で一度しかなく、勉強も大事ですが、多感な時期だからこそ、自分の心に正直になることを教えたのです。
規則に沿って生きることだけでは、人間として幼く、勉強以外は何も知らない大人へと成長するのみです。
親や学校に敷かれたレールを進めば、医者になれたり、弁護士になれたりと社会的に成功するかもしれません。
しかし、生徒たちがしたいことなりたいものの本質を見極め、あらゆる経験をさせて物事の見方を変えるような指導が行われました。
一人ひとりの性格を見て独立心を養わせる
生徒の個性を伸ばしてあげるキーティングの教え
キーティングの授業は、生徒一人ひとりの個性を大切にし、独立した人間に成長させることを目的としていました。
いままで受けたことのない授業を受けた生徒達は、少しずつ自分の心と向き合い出します。
途中で編入してきたトッドは内気な性格で、自分の感情を表に出すことを苦手としていました。
授業で自作のポエムを発表する時にキーティングにより、叫ぶことを教えられました。
即興でその場で、思いを叫んだトッドのポエムは拍手を沸かせました。
向き合いたくないことと向き合わせ、成功も失敗も早いうちにさせておくことが大切だったのです。
大学進学率さえ上げれば良い学校側の意図
歴史ある名門校のウェルトン・アカデミーでは、進学率だけが世間からの評価で、生徒がどのような生活を送るかはどうでもよかったのです。
数字だけを見つめ、その為に厳しくしつけをしていましたが、将来に期待する多くの大人たちは学校に子供を預けています。
年々、進学率も上がっており、国内随一だとまで言われた学校で、規則を守らない生徒やキーティングの存在は邪魔ですらありました。
キーティングが赴任してくるまでは、生徒たちも不満を持ちながらも自分の環境を変えられるとも思っていませんでした。
なので、文句を言いつつも規則を守りながら、日々を送っていたのです。
しっかり勉強をし、夜の勉強会もサボりながらも教え合いなどをして、勉強をきちんとこなしていました。
いままでどおりの学校のやり方でしたので、大人たちも子どもたちがウェルトン・アカデミーに通っていたことを誇りに思っていたでしょう。
キーティングに対する大人側の不満
着実に進学率をあげていた学校にやってきたキーティングは、この環境で育ってきた卒業生でしたので、最初は期待されていました。
生徒との距離感が近く、生徒にさまざまなことを吹き込み、他の教師や親たちは生徒の目に光が出てきたことを良く思いませんでした。
兵隊のように育てていた生徒が生き生きしだし、勉強以外のことに興味を持ってしまったからです。
授業中も教室内にいないことも多く、遊んだりふざけているようにしか見えませんでした。
大人達からすると、キーティングから悪知恵を吹き込まれた子ども達が毒されているようにしか見えなかったのです。
自殺でしかなし得なかったニールの父への反抗
キーティングのメッセージはなぜニールに届かなかったのか
生徒達は、キーティングの授業や死せる詩人の会を通して、個人の主張をするようになりました。
ニールもその中のひとりで、医者を目指すように親に言われ育ってきていました。
何かあると父親が寮までやってきて、ニールの気持ちを抑え込む発言をしています。