仁菜子がどれだけ蓮を思っても、想いを伝えられなかった理由。
それは蓮がいかに麻由香を大切に思っているかを仁菜子も知っていたからです。
蓮と麻由香が二人でいる姿や蓮が体を壊してまで頑張る姿。
恋人のために一生懸命頑張る蓮をみればみるほど、仁菜子は麻由香の存在の大きさを知ることになりました。
蓮のことが好きだから、蓮には幸せになってほしい。
けれども、蓮が頑張っている姿が自分のためではない。
仁菜子もまた自分の思いと現実との板挟みに苦しんだのです。
蓮と拓海の過去を知ってしまった仁菜子
蓮が麻由香と別れてからも想いを伝えられずにいたのは、仁菜子が蓮と拓海との過去を知ったからです。
中学時代、蓮と拓海はある女性を巡っての出来事で仲たがいをしました。
そのことを聞いてから、仁菜子はせっかく戻りつつある蓮と拓海との関係を壊さないことを決めます。
仁菜子は蓮と付き合うと、また蓮と拓海の友情を壊してしまうと考えました。
だからこそ仁菜子は蓮に想いを伝えられず、また蓮の気持ちにも応えられなかったのです。
蓮と仁菜子が想いを伝えられずにいられなかった理由
「自分の気持ちに正直になってもいい」
二人がどうしても自らの想いを伝えられずにいられなかった理由。
それは二人が「自分の気持ちに正直になってもいい」ことに気付いたからです。
蓮には麻由香を守るという約束があったため、仁菜子に想いを伝えられませんでした。
仁菜子は、蓮が麻由香を大事に思っていたから、そして蓮と拓海との友情を壊さないために、想いを伝えませんでした。
しかし蓮には麻由香の、仁菜子には拓海の後押しがあり、その後押しが二人を大きく動かしたといえます。
そして二人は「自分の気持ちに正直になってもいい」ことに気付き、想いを伝えられずにいられなかったのです。
惹かれ合う二人には共通点があった
蓮と仁菜子にはある共通点がありました。
それは「周りの人の幸せを優先して、自分の本当の気持ちを押し殺してしまうこと」です。
蓮は、麻由香の幸せを優先するあまり、仁菜子への気持ちを無視しようとし続けました。
また仁菜子は蓮と麻由香、蓮と拓海の関係が良くあることを優先し、蓮への気持ちを押し殺そうとしました。
蓮と仁菜子は自分以外の人を優先することに慣れてしまっていたのです。
常に周りの人が幸せになることを考え、自らの幸せは二の次にしていました。