出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07KMLRBVM/?tag=cinema-notes-22
カンヌ国際映画祭ではプレミア上映され、監督週間でのアニメーションとしては唯一の招待作品で世界的に話題となった【未来のミライ】。
細田守監督の5作目で、自身の経験したことを作品へと映し出す彼の手腕が見所の作品となっています。
細田守監督が描きたかったことや、未来の東京駅の姿、あらゆるアーティストとの見せ場などを徹底解説していきます。
リアルに描かれた4歳児くんちゃん
両親を独り占めしたくて芽生えた嫉妬心
イヤイヤ期の4歳児くんちゃんは妹が生まれ、両親の関心が妹の未来ちゃんに向いてしまったことをおもしろく思いません。
今までは自分が何をしたってかまってくれていたはずなのに、ワガママを言えば怒られ、遊んでもらえることが減ったのです。
お父さんが仕事に出て、お母さんを独り占めして遊んでもらっていた日々とは反転してしまいました。
家にいて遊んでくれていたお母さんは産休を早く切り上げ仕事へ、フリーとなり自宅で仕事することとなったお父さんが自宅にいる状況です。
今までとは全く異なる日々で、両親が可愛がる未来ちゃんに対して嫉妬心を覚えるようになりました。
くんちゃんにとっては初めての感情で、楽しいことなど何もなかったのです。
あらゆる時代を通してお兄ちゃんになる
この映画はいくつもの時代を通して、色んな年齢の自分の家族へと会いに行くこととなります。
オムニバス形式で、それぞれのストーリーがありますが、くんちゃんは少しずつ物事を受け入れていけるようになっていくのです。
ワガママを言えば、困った顔をしながらもかまってくれる両親がいなくなって、たくさん泣いてたくさんさびしい思いをします。
それでも、未来の未来ちゃんや犬のゆっこ、ひいおじいちゃんに同年代のお母さん、いろんな家族から多くのことを教えてもらうのです。
お父さんやお母さん、そして未来ちゃんが悪いのではなく、くんちゃんも人に優しくしないといけないのだと感じることが出来ました。
嫌なことがあっても泣いているだけでは何も解決しないことや、両親が自分のことも変わらず大切に思っていることも分かり始めます。
成長した未来ちゃんに助け出してもらったことで、今まで好きではなかった未来ちゃんにも最後には笑いかけることが出来ました。
人には理解されない夢のような世界での経験がくんちゃんを成長させ、お兄ちゃんになっていったのです。
変わったお洒落な家に込められた想いとは
建築家・谷尻誠が設計した家
本作で注目すべき点の一つが、一見変わった独特な設計の家でしょう。
建築家と結婚すると、まともな家には住めないってことなのかしら。
引用:未来のミライ/配給会社:東宝
冒頭でこのような台詞があったように、庭を挟んで居住スペースが分かれており、あちこち階段だらけの家なのです。
お父さんが建築家なので、お父さんが設計した家なのでしょう。
この家は実際に映画を製作する際、人気建築家の谷尻誠が1年以上の歳月をかけて手がけているのです。
アニメーション映画の中に本物を使用する細田守監督のこだわりと、谷尻誠の圧倒的なセンスが目を見張ります。
中心に中庭があり、リビングから出るときには靴を履かないといけないような設計ですが、これもこだわりのポイントでしょう。