庭を挟んだどちらの部屋にいても中庭を見ることができ、その中庭には本作では重要な樫の木があります。

本田家の歴史の索引となるこの木は、現在も家族を見守り、歴史を刻んでいくのです。

細田守監督の過去作を連想させる斜めの構造

階段だらけで全体的に斜めの印象を受けるこの家ですが、細田守監督の過去作を連想させるものとなっています。

『時をかける少女』の踏み切り前の坂道や、『おおかみこどもの雨と雪』で雪の中を転げ落ちるシーンなどでは大きな坂が印象的でした。

細田守監督の作品を観ている人であれば一瞬で連想することの出来る名シーンを連想させるのです。

このように、作品の中にも他の作品を連想することの出来る遊び心を入れている点でも観ている人を楽しませてくれています。

樫の木が家の歴史の索引

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家の中心にある樫の木こそが歴史の索引となっており、くんちゃんをあらゆる時代へと連れて行ってくれます。

大体はくんちゃんがワガママを言っても親に聞いてもらえなかったりとひとりで拗ねているときに他の時代と繋がりました。

最初は、ゆっこが人間の姿となって現れ、お雛様を早く直してほしい未来ちゃんが未来からやってくるところからでした。

結婚が遅れることがどうしても嫌で、過去に戻ってきたのでしょう。

ゆっこは無精ひげの生えたボサボサ頭でしたが、これも親の関心がゆっこからくんちゃん、未来ちゃんへと移っていったことが分かります。

ゆっこの幼少期はきれいなお坊ちゃまの姿だったので、安いドッグフードを食べ、トリミングやシャンプーの回数も減っていたのでしょう。

あらゆる時代にタイムスリップできるこの木は、家族全員が存在を知っているわけではありません。

もしかしたら、くんちゃん・未来ちゃん・ゆっこだけが知っていることなのかもしれません。

子供たちに成長させられた両親

現代における型にはまらない家族の形

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少し前までは家族の形とは、ある一定の定型の形がありました。

すこし前の作品であれば、サラリーマンのお父さんがいて、専業主婦のお母さんがいる家庭が一般的と考えられていたでしょう。

しかし、時代に合わせて作品の内容も変えていかなければなりません。

家族の形はひとつの型にはまることなく、共働きをしている家庭もあれば、お父さんが家にいてお母さんが働く家庭だって存在するのです。

本田家では、お父さんは在宅でフリーの建築家をしており、お母さんは外でキャリアウーマンをしています。

固定化されていない家族の型の中で、家族ひとりひとりが模索しながら家族との関わり方を考えていかなければいけないのです。

育児を通して成長していく両親

家庭を顧みず、仕事ばかりに集中していたお父さんや、掃除が苦手ですぐに怒ってしまうお母さん。

育児をしていると毎日が驚きばかりで、新しい発見が生まれてきたりしています。

未来ちゃんがお父さんに抱っこされても泣かなくなったことなど知らぬ間に親も成長させられていたのです。

最後には両親が共に、子どもたちを通して変わってきたということを話しています。

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