革命勢力の思想闘争、権力闘争、1917年の10月革命を経て、さらにトロツキーやスターリンの登場に伴う内部抗争が繰り広げられます。
そして1922年最終的に世界初の社会主義国家「ソヴィエト連邦」にまとめられることになるのです。
ロシアに渡ったリードとルイーズ
祖国アメリカには帰れない運命
共産主義の理想に燃えるリードと、その思想に共感し惹かれつつも、それ故にぶつかり合う、記者となったルイーズとの愛の行方も興味深いところです。
仕事に忙しいリードと寂しいルイーズの間の間隙を縫って登場するのが劇作家で詩人のユージン・オニール(ジャック・ニコルソン)でした。
彼はルイーズを愛するようになってしまい、彼女に「愛の詩」を贈ります。その直後リードとルイーズは結婚します。
しかし、ルイーズはオニールから貰った「愛の詩」は捨てられずにいたのです。それは揺れるルイーズの心の象徴でもありました。
自分の理想に従って病気を押し2人は革命の嵐吹き荒れるロシアに渡ります。
リードにとってロシア革命を記録することは、自分の思想とジャーナリストしての本質からも願ってもないチャンスでした。
寝る間も惜しんで執筆活動を続けるリードは、時にはロシアの聴衆に対して連帯に必要を説く演説までするようになります。
こうした環境の中で2人の愛情は堅固なものになっていきました。
「世界を揺るがした10日間」の出版と評価
レーニンも認めた記録
アメリカ人ながら、革命時のロシア関係者に精力的にインタビューをし、革命の歴史を記録したジョン・リードの著書。
自由主義のアメリカでは革命を記録したものとしては評価されましたが、思想的には否定されるものでした。
しかし、ロシアではレーニンが称賛する一方、その論調がスターリンからは批判され、彼はこの本を発禁処分にします。
現在ではこの著書は「ロシア革命を記録した優れたルポルタージュ」として世界的に高い評価が定まっています。
ウォーレン・ベイティ
才能の開花
映画「レッズ」は1981年度アカデミー賞12部門にノミネートされ監督賞、撮影賞、助演女優賞を獲得しました。
アメリカン・ニューシネマの傑作とされる「ボニー&クライド/俺たちに明日はない」で一躍ハリウッドの寵児となったベイティ。
その後着実に実績を重ね製作、1975年「シャンプー」で脚本の世界に進出し、才能を遺憾なく発揮します。
そして遂に1981年、いかにもアカデミー会員好みの作品ではありますが、本作で見事監督賞を獲得したのでした。
一方、残念ながら俳優としての彼はオスカーの主演、助演男優賞は受賞していません。
映画「レッズ」の優れた点
ドキュメンタリー風の演出
本作では冒頭から何度と無くリードとルイーズに関係した実在している関係者(本人)のインタビューが挿入されます。
彼(彼女)らは、リードとルイーズの人となりを優れた点、そうでなかった点をリアルに証言していきます。
今は亡き作家のヘンリー・ミラーの姿を見ることも出来ます。