シガーと旧知の賞金稼ぎのカーソン・ウェルス(ウディ・ハレルソン)が賞金をせしめようと、ルウェリンの元を訪れました。
シガーからウェリンの身柄を守り、金を得ようと交渉してきます。渡りに舟と、ルウェリンは依頼を引き受けます。
しかし…シガーは交渉に来たカーソンと一旦は話し合いを持ちます。
交渉をしながら自身の目的と少しでもズレがあることがわかると、あっさりとカーソンを銃殺してしまいます。
冷酷さしか心の中に残っていないようなシガー!間に入って、事態をとりなそうとする者全てが敵に見えるのでしょうか?
ハッキリ言って強烈に怖い!の一言です。
シガーは異常殺人者か?それとも…
シガーは冒頭でも雑貨屋の主人に、実に理不尽な絡みかたをし、彼はラッキーなことにコイントスの賭けに勝ち、事なきを得ました。
もし負けていたら、雑貨屋の主人は間違いなくその場で銃殺されていたでしょう。
シガーはまるで実在するプロの殺し屋という印象でした。なんとラストは、自分自身も自動車事故で重傷を負うという幕切れでした。
いわゆる勝ち逃げにはならなかったのです。
「人間は行為の善悪や老若男女を問わずいつでも事切れる可能性がある。」ことを示唆したかったのでしょう。
ルウェリン・モスの逃走の顛末
必死の逃避行ぶり
ルウェリンもさすがベトナム帰りです。シガーに何度となく追い詰められても負けていませんでした。
モーテルの部屋をこまめに変わったり、金を天井裏にきっちり隠したり、シガーに撃たれた自身の怪我を几帳面に手当てしたり…。
妻のカーラ・ジーン(ケリー・マクドナルド)をして”誰にも負けない“と言わしめる、帰還兵ならではの百戦錬磨のキャリア。
それを逃走中の至る場面でフル稼働していました。途中までは…。
ルウェリンは逃走中ベルの尋常でない腕に危機感を抱き、妻に引越しを命じ、金も途中で手離してしまいます。
なんとか妻と妻の母と共に合流場所のエルパソに到着し、少し気を緩めたところをシガーに急襲され、惨殺されてしまうのでした。
凶悪犯罪は、撲滅不可能なのか?
犯罪の悪循環から離脱する方法とは?
ベルは凶悪犯罪の悪の連鎖に「自分の腕に自信がもてなくなった」「自分が抜けることで、それを断ち切りたい」と引退を仄めかしました。
叔父は、20年前には想像もつかなかったような事態の悪化は、ベル1人が責任を背負い切れるものではない、と諭しました。
そしてそれは時代の流れとして放置できるものでもないとベルを引き止めようとします。ベルは、どう決断したのでしょうか?
そのヒントは、彼の夢の中にありました。
この作品の本質を表したタイトルが示す世界観を読み取ろう
タイトルの由来は?
本作は、2005年のコーマック・マッカーシーの小説「血と暴力の国(原題No Country For Old Men)を映画化した作品です。