監督は、原題の”The Factory” に子供を「作る、生産する」工場と「家族」は絶対に別物だという主張を込めたのかもしれません。

映画化にあたっての紆余曲折

監督とスタッフは、あまりに事件通り赤裸々に映画化してしまうと、商業作品として成立しなくなることを恐れたのでしょう。

本作は「ゲイリー・ハイドニック事件」だけではなく、映画公開後に発覚した「クリーブランド監禁事件」にも類似点が見られます。

複数の事件をベースにインスパイア度を上げ、サスペンス性を高めて完成させたようです。

結果的に、映画にできないほどの犯人の異常性まで薄め過ぎてしまったように感じられます。

犯人の子供も所在こそ不明ですが、どこかで生きているのも厳然たる事実です。

今のSNS社会では、ほんの僅かなきっかけで本人の身元がバレてしまう可能性がゼロとはいえません。

実際の事件をベースに制作するときの困難さを感じさせます。

プロットの詰めの甘さ

複数の事件を組み合わせ、プロットを組み立てたのが裏目に出たように見えました。具体的には以下の2点です。

ケルシーがカールと別れた後、警察に就職して刑事になり、志願してカールの事件の担当刑事になったこと。

カールがよりにもよって担当刑事マイクの娘を誘拐してしまったこと。

偶然にも程がありすぎる」設定2点です!

客観的に見て、これは再検討の余地が大いにあり、ここを変えるだけでかなり展開も変わってきたでしょう。

トリビアと惜しかったポイント

「羊たちの沈黙」との類似点

ポップアートパネル 海外 絵 レクター 羊たちの沈黙 26×26cm

本作で犯人のカールが誘拐した売春婦を小さな井戸に押し込めるシーンは「羊たちの沈黙」とネタ元は一緒です。

ゲイリー・ハイドニック事件」のエピソードから拝借したそうです。

カールの悪のカリスマ性の不足

どうせなら「羊たちの沈黙」のアンソニーホプキンスに迫るぐらい振り切れて欲しかったです。

用心深いはずの娼婦たちが一度はカールに騙されて家について行き、その後も従わざるを得ないような「悪のカリスマ」の魅力が皆無でした…。

良い人が1人もいない?

マイク役のジョン・キューザック目当てに本作を観ようとするファンも多かったでしょう。

彼でなければならない必然性に欠けている感が、ストーリー全面に出てしまっています。

カールに最後に誘拐されるマイクの娘役も、娘とは思えない擦り切れぶりがエスカレートし過ぎでした。

娼婦に間違われて犯人に声をかけられる、という役柄の設定上、あえてキャラクターメイキングしたのかもしれませんが…。

まとめ〜リメイク必須?

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本作は、原作になった実際の事件が余りにも凄惨過ぎて、映像化が困難を極めた作品です。

ストーリーのベースを、1人の統括プロデューサーに委ねて、「残酷過ぎる箇所を鑑賞に耐えるようにする。」ことが最優先になってしまったのが原因でしょう。

今後リメイクの可能性があるかはわかりませんが、その場合はプロットを組み直してキャスティングも一新する必要が感じられます。

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