帰還兵が社会にうまく馴染めず重大な犯罪に走るなどの問題も、69年頃からベトナム戦争が終結する70年代中期にかけて顕在化していきます。
マイルズは、それを象徴するような存在でした。
1号室、ララミー・サリバン
自称電機屋のセールスマン、正体は…
ララミー・サリバンは表向きは電機屋のセールスマンをしながら、実は当時のFBIのトップ・フーバー長官直属の審査官でした。
一見ありふれた男に見える彼がスパイに抜擢されたのでしょうか?その理由を考察してみました。
巧みな話術
ホテルエルロワイヤルの幹部社員顔負けのPRを苦もなくやってのけていました。
支配人マイルズより遥かに巧みにホテルの歴史から現状までを伝え切る話術は、素性も隠せる強力なアピールポイントです。
彼が本気で支配人の仕事に集中したら全盛期は1年以上続いていたかもしれません。
機器取扱の優れたスキル
「盗聴機器のメンテ」はスパイに必須のスキルです。
彼は普段の作業はスマートに完了でき、競合先の機器のチェックまで自在にこなせる卓越した技術スキルを有していました。
宿泊客の素性確認
出逢って間もない宿泊客達の素性を瞬時に見抜き場を繋ぐ話題を選んで展開する能力。嫌味からセクハラまで印象操作も自由自在でした。
実際は007のような完璧なスパイも居たでしょう。しかし、人間臭いララミーのようなスパイの行動も今後解明されてくるかもしれません。
ララミーが彼らしく全員と絡んでいくスピンオフ作品も期待できそうなポテンシャルを秘めたキャラクターでした。
7号室、エミリーとローズ
妹にある意味救われた?エミリー
69年頃は、アメリカの保守的な生活に対抗して人間性回復を求める新しい価値観を持ったヒッピーの活動のピークの時期でした。
ベトナム戦争反対運動も67年頃から広まってきていました。
若者が家を飛び出しそれぞれのコミューンに所属し、自分たちなりのユートピアを追求していたのです。
エミリーとローズもありふれたヒッピー姉妹でした。
エミリーは自分より酷くコミューンとビリーにのめり込むローズを目の当たりにして妹を救うことを第一に考えざるを得ませんでした。
実際コミューンのリーダーに心酔するあまり人生の道を踏み外したヒッピー崩れは、69年頃からカリフォルニア界隈では増加の一途を辿っていました。
逆に「素」の自分を失わずにいられたのかもしれません。
キレたら怖い?エミリー
彼女は強烈な戦闘能力も有していていました。
一度キレたら何をしでかすかわからないポテンシャルはローズ以上に秘めており、エミリーの過去のストーリーも含めたスピンオフも充分製作される可能性はありだと感じました。
5号室、ダリーン
彼女に他人を見極める力が宿った理由
ダリーンは当時大人気だったシュープリームスを思い起こさせるガールトリオのシンガーでした。
彼女は歌手としても、それ以外の人生でも無数の目に見えない苦労をしてきたことが、用心深い言動から伝わってきます。
それ故、ララミーの悪意のない差別発言にも動じず、やり過ごしたり酒に毒を盛ろうとしたフリン神父の企みを瞬時に見抜いたり…。
ビリー・ジョーを「臆病な小心者」とズバリ本質を見破ることができたのは、彼女が真摯に自らの試練に向き合ってきた証拠でしょう。