アニメの放送開始から考えると今さらという感じもありますが、設定を考えると決して不自然ではないのです。
実は新婚旅行に行っていた
とはいえ、アニメ版では新婚旅行に行っていないという設定でしたが、マンガ版では異なります。
マンガ版では、野原夫妻は新婚旅行に行っていたのです。
新婚旅行として埼玉県を一周した、と単行本6巻で描かれています。
クレヨンしんちゃんのコアなファンで、このことに気付いている人は多いです。
今までの映画版とは異なる魅力
ひろしとみさえの関係性
本作が今までの映画版と異なる点は、ひろしとみさえの夫婦としての関係が描かれている点です。
『クレヨンしんちゃん』はタイトルの通り、しんのすけが主人公です。
そのため、ひろしとみさえは基本的に両親としての描かれ方をします。
しかし今回は「新婚旅行」なので、ある意味主役はひろしとみさえであり、夫婦の関係が強調されています。
この描かれ方はこれまでの映画版にはなく、更にみさえが主に活躍する映画も初めてです。
みさえはしんのすけやひまわりの母親であると同時に、ひろしの妻であり、そして一人の女性なのです。
そんな当たり前だけど見落としがちな大切なことも、今回の映画を観ればわかります。
家族でみるもよし、夫婦でみるもよし、恋人とみるもよし、母親がみるもよし。
幅広く人の心に届くのが本作なのです。
ほとんど描かれることのない夫婦の関係
結婚をする前はアツアツだったけど、結婚や出産を機にだんだんと二人の温度感が下がった。
そんな現実的な設定が、野原一家にもあります。
だからこそ、みさえは激安ツアーでの新婚旅行を提案しました。
ひろしもみさえに喜んでもらうために、踊ったり、花束を用意します。
父親や母親としての描かれ方がほとんどのひろしとみさえが、お互いを喜ばすための行動をしている。
本作が更に魅力的なのは、結婚後改めて初心を取りもどそうとする二人が、白々しく描かれていないことです。
観ている側も自然と二人の行動や気持ちに共感できるうえ、観ている側が恥ずかしくなる演出もありません。
もちろん父親と母親の面も
もちろん、ひろしとみさえの父親と母親の面もしっかりと描かれています。
特に、ひろしがお姫様と結婚する、と家族の前で宣言したシーンには注目です。
なぜなら、そのシーンではひろしとみさえのそれぞれの家族の守り方が描かれているからです。
ひろしは自分を犠牲にし家族を巻き込まないことで、家族を守ろうとしました。