出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/4865180893/?tag=cinema-notes-22
五十嵐大介作の同名漫画をSTUDIO 4℃が、映画としてスクリーンに映し出しました。
「海獣の子供」は大自然の海の魅力を詰め込みながらも、科学的な見解を取り込んでおり少々難解に感じる人もいるようです。
そんな抽象的ともいわれる「海獣の子供」に登場する空と海を中心に、作品の謎を解明していきます。
ジュゴンが意味するものは何か、ラストシーンは何を物語っているのか……。
なんとなく観るだけではもったいない映画の真の意味を紐解いていきます。
隕石誕生説が軸となっている
「海獣の子供」を観る際に知っておくべきことがあります。
それはパンスペルミア説と呼ばれる生命誕生説です。
生命は地球の海から生まれたというのがこれまでの一般論でした。
しかし近年、隕石によって生命に必要な有機物が持ち込まれ海で生命を生んだという説が有力になっています。
この説こそが、本作品の軸となる考え方です。
パンスペルミア説の研究に携わった中心人物の名が、ジム・クリーブスというのも、偶然の一致とはいいきれない気がします。
海と空の正体は原子細胞
普通の人間ではない海と空は一体何者なのでしょう。
劇中で明確には語られていない彼らの正体に焦点を当てていきます。
原作では不気味さも感じる存在
漫画版は全5冊で完結しており、映画ではアレンジを加えつつも内容を要約した構成となっています。
映画では少年の爽快さを感じさせる海と空ですが、原作の漫画では不吉な物として扱われた過去を描いています。
人間は未知なるものに出会った時、恐れと不安を感じますが海や空も未知なる生物として畏怖されていたのでしょう。
人魂=隕石=神の精子
劇中で海と琉花は人魂を見に行っています。
この落下した人魂こそが隕石であり、空が病院を抜け出して拾いに行ったものです。
後に空が琉花に飲み込ませていた隕石は、人魂ということになります。
実は原作の中のアングラードのセリフに、隕石が何を示すのか語るシーンがありました。
神の精液は隕石のことなんじゃないか
引用:海獣の子供/出版社:小学館
宇宙の神が欲情した際にこぼれ落ちた精液、と伝承を語る際に発したセリフです。
空と海は原子細胞のひとつ
海中で生物が誕生し、そこへ落ちてくる神の精子……となれば、海中は子宮を意味しているのでしょう。
そして海中で生まれ育った海と空は、いわば卵子であり原子細胞のひとつといえます。
パンスペルミア説でいうなれば、元々地球に存在していた生命誕生に必要な物質のひとつとなります。
隕石(神の精子)と結合することで生命を生み出す存在です。
時期が来れば生まれる存在
海と空は短命だといわれていました。