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「ミッション・インポッシブル」シリーズと共にトム・クルーズの代名詞となった1986年の映画「トップ・ガン」。
トムの出世作でもあります。公開されるや大ヒットした本作、青春の思い出として心に残っている方も多いのではないでしょうか。
また数々の名曲にも彩られ、サウンドトラックを楽しむ映画としても味わいがあります。
海軍航空部隊での男の友情をメインに、ファッショナブルな恋愛映画、スタイリッシュな青春映画の傑作として多数のファンを獲得しました。
しかし、その一方で戦闘機の訓練シーンでの矛盾映像や製作サイドなどからの口出しが絡んだことによる珍シーンが多い映画でもあります。
そんな映画がなぜ世界中で大ヒットしたのでしょうか。
名匠トニー・スコットは様々な制限やトラブルを抱えながら、どうしてこんなにカッコいい映画が作れたのでしょうか。
そんな謎に迫りながら「トップ・ガン」を考察していきましょう。
製作側から生まれた数々の矛盾やトラブル
売れっ子コンビの背後には
本作のプロデューサーはドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマー。当時パラマウント映画所属でした。
この二人は「トップ・ガン」以前に「フラッシュ・ダンス」「ビバリーヒルズ・コップ」で大成功を収めています。
また二人は「トップ・ガン」の大ヒットの後、トニー・スコットと「デイズ・オブ・サンダー」「クリムゾン・タイド」を製作。
そうした流れで見れば、売れ線映画を作らせたら当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったドンとジェリーの現場にトラブルなど起きようがないはずだったのです。
製作・配給会社の圧力
ところが、プロデューサーには製作・配給会社の思惑が大きくのしかかって来るのが映画作りの常道です。
次々と大ヒット映画を作り金儲けしたい製作・配給サイドと現場を任されているプロデューサー、監督の間で揉めごとが起きます。
例えばトムたちが上半身裸でビーチバレーをするシーンや、パイロットのロッカールームでの裸のシーンが多いと思われませんか?
あれは女子受けを狙った製作・配給会社の要求だったといわれています。結果オーライだったわけですが。
トニー・スコット監督としては、ビーチバレーのシーンは好きではなかったようです。
軍事アドバイザーと脚本家の意見相違
本作のような軍事の絡む映画には必ずその方面に詳しい軍事アドバイザーが付きます。
この映画はアメリカ海軍の全面協力ですから、本物のFー14パイロットや軍事用語コンサルタントなどがサポートするのです。
特に教官のチャーリーの授業やピート(トム)との空戦についての議論などにはこうした人の指導がなければ成り立たたないもの。
それなのに映画をよく観ると、あれ?と指摘したくなるカットが出て来ます。
これは海軍として軍事的に許せないところは手直しを指示したものの、そうでもないところは演出側に任せた、と推察するのが妥当でしょう。
協力もするけど口も出した海軍
本作ではアメリカ海軍が全面支援。空母「レンジャー」(作品中では「エンタープライズ」として登場)の使用を許可。
F-14トムキャット戦闘機やMiGに想定したF5戦闘機と操縦パイロットの提供、実際のミサイルの発射シーンなどに協力しています。
加えて基地ロケの提供など全面的な協力を惜しみませんでした。
この映画のヒットで海軍志願者が激増したことに空軍がやっかみをいうほどの力の入れようでした。