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リチャード・カーティス監督はロマンチック・コメディの名手として知られています。
『フォー・ウェディング』などの脚本で脚光を浴びた後、カーティス監督が2003年に初監督を務めたのが『ラブ・アクチュアリー』です。
この作品はロマコメ映画の名作として長く語り継がれてきました。
BBC放映の短編ドラマとして2017年に続編『レッド・ノーズ・デイ・アクチュアリー』が作られたことでもその衰えぬ人気ぶりがうかがえます。
ここからはそんな『ラブ・アクチュアリー』を深堀りしてゆきます。
クリスマス映画になった理由や20数人のキャラを総立ちにさせた撮影手法や監督の思い入れが感じられるマークについて。
また、ただのクリスマス映画には終わらない魅力についてまで幅広く見てゆきましょう。
当初クリスマス映画という構想はなかった
『ラブアクチュアリー』は世界中でクリスマスに最も観られる映画の1つとして有名です。
しかしリチャード・カーティス監督は製作当初、本作をクリスマス映画にするつもりはありませんでした。
当時カーティス監督には数多くのラブストーリーのアイデアがありました。
が、すべて映画化するには膨大な時間がかかるので、数多くのラブストーリーを1つにまとめた群像劇を作ることにしたといいます。
一方で監督はクリスマス映画の大ファンでした。そこで多くのカップルがクリスマスを楽しみにしていることに着目したのではないでしょうか。
恋愛ものの群像劇はクリスマスと相性が良い。もしかすれば、監督はそんな風に考えたのかもしれません。
いずれにせよクリスマス映画の代表作『ラブ・アクチュアリー』は最初からそうと狙って作られたものではなかったのです。
クリスマス映画になった客観的な理由
『ラブ・アクチュアリー』は何といってもクリスマス・ムービーです。クリスマス設定になった理由を客観的に読み解いてゆきます。
国際テロ時代の暗い世相を吹き飛ばすため
古今東西どこのラブストーリーでもクリスマスは鉄板ネタです。
数多くの恋で彩られたアンサンブル・ラブストーリーの本作がクリスマスを描くのも自然なことでしょう。
しかしこの映画では「クリスマスまであと~週間」という章立てになっており、クリスマスへのこだわりが強く感じられます。
第一にそれは当時の暗い世相を反映したものではないでしょうか。
公開年の2003年はアメリカがイラク戦争に踏み切った時代であり、世界中でテロの脅威が叫ばれていました。
そんな時代だからこそ、製作者はラブストーリーとクリスマスが掛け合わされた底抜けにハッピーな映画を作りたかったのではないでしょうか。
群像劇を1つにまとめる統合ファクター
構成的に見ると、クリスマスはこの映画における統合ファクターだといえます。
映画は20人以上の恋愛を描く群像劇なので、そのままではバラバラな印象を与えるでしょう。