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【ラブ・アクチュアリー】本作がクリスマス映画になった理由を解説!マークのモデルは監督?全員主役のように見せる撮影手法とは

出典元:https://https://www.amazon.co.jp/dp/B0000V6SOG/cinema-notes-22

リチャード・カーティス監督はロマンチック・コメディの名手として知られています。

『フォー・ウェディング』などの脚本で脚光を浴びた後、カーティス監督が2003年に初監督を務めたのが『ラブ・アクチュアリー』です。

この作品はロマコメ映画の名作として長く語り継がれてきました。

BBC放映の短編ドラマとして2017年に続編『レッド・ノーズ・デイ・アクチュアリー』が作られたことでもその衰えぬ人気ぶりがうかがえます。

ここからはそんな『ラブ・アクチュアリー』を深堀りしてゆきます。

クリスマス映画になった理由や20数人のキャラを総立ちにさせた撮影手法や監督の思い入れが感じられるマークについて。

また、ただのクリスマス映画には終わらない魅力についてまで幅広く見てゆきましょう。

当初クリスマス映画という構想はなかった

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『ラブアクチュアリー』は世界中でクリスマスに最も観られる映画の1つとして有名です。

しかしリチャード・カーティス監督は製作当初、本作をクリスマス映画にするつもりはありませんでした。

当時カーティス監督には数多くのラブストーリーのアイデアがありました。

が、すべて映画化するには膨大な時間がかかるので、数多くのラブストーリーを1つにまとめた群像劇を作ることにしたといいます。

一方で監督はクリスマス映画の大ファンでした。そこで多くのカップルがクリスマスを楽しみにしていることに着目したのではないでしょうか。

恋愛ものの群像劇はクリスマスと相性が良い。もしかすれば、監督はそんな風に考えたのかもしれません。

いずれにせよクリスマス映画の代表作『ラブ・アクチュアリー』は最初からそうと狙って作られたものではなかったのです。

クリスマス映画になった客観的な理由

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『ラブ・アクチュアリー』は何といってもクリスマス・ムービーです。クリスマス設定になった理由を客観的に読み解いてゆきます。

国際テロ時代の暗い世相を吹き飛ばすため

古今東西どこのラブストーリーでもクリスマスは鉄板ネタです。

数多くの恋で彩られたアンサンブル・ラブストーリーの本作がクリスマスを描くのも自然なことでしょう。

しかしこの映画では「クリスマスまであと~週間」という章立てになっており、クリスマスへのこだわりが強く感じられます。

第一にそれは当時の暗い世相を反映したものではないでしょうか。

公開年の2003年はアメリカがイラク戦争に踏み切った時代であり、世界中でテロの脅威が叫ばれていました。

そんな時代だからこそ、製作者はラブストーリーとクリスマスが掛け合わされた底抜けにハッピーな映画を作りたかったのではないでしょうか。

群像劇を1つにまとめる統合ファクター

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構成的に見ると、クリスマスはこの映画における統合ファクターだといえます。

映画は20人以上の恋愛を描く群像劇なので、そのままではバラバラな印象を与えるでしょう。

そこでクリスマスのようなほとんど誰もが祝う一大イベントがあると、大勢を1つにまとめることができます。

作中の終盤には学校でのクリスマス・パーティがありました。そこでほとんどの主要キャストが集まることで、映画が丸く収まるのです。

他の群像劇映画にもこのような統合ファクターがありました。

ロバート・アルトマン監督の『ショートカッツ』ではロスの大地震、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』ではカエルの大雨。

群像映画には、そういう大勢のキャストを1つにまとめる仕掛けが必要なのです。

グランドホテル方式とは

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作中では主に9つのラブストーリーがあり、総勢20人以上のメインキャストが出ています。

日本ではそういう映画を群像劇などといいますが、イギリスやアメリカではグランドホテル方式といいます。

『ラブ・アクチュアリー』はロバート・アルトマンの『ナッシュビル』などと共にグランドホテル方式の代表作になったといえるでしょう。

グランドホテル方式の由来はそのまま『グランドホテル』というタイトルの映画にありました。

『グランド・ホテル』(Grand Hotel)は、1932年のアメリカ合衆国のドラマ映画。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)製作。

第5回アカデミー賞最優秀作品賞(1931年-1932年度)を受賞、アカデミー賞で作品賞だけノミネートされ、作品賞だけ受賞した最初で最後の映画でもある。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/グランド・ホテル_(映画)

この作品がまさにグランドホテルを舞台にした群像劇だったのです。

豪華ホテルには見ず知らずの人々が大勢宿泊しています。それはまさに映画やドラマの群像劇に最適なメタファーだともいえるでしょう。

ちなみに『グランドホテル』の主演男優を務めたジョン・バリモアは、あのドリュー・バリモアのおじいさんになります。

すばらしい群像劇に仕上がった3つの要因

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映画はグランドホテル方式で出来ています。大勢がどっと出てくるのですが、不思議とまとまっています。その秘訣は何なのでしょう。

全員が主役になるような演出

総勢20人以上のメインキャストを普通に進行させてゆけば鑑賞者はこんがらがってついてゆけません。

それでは群像劇として破綻します。この映画ではそうならないためにまずキャラを総立ちさせました

それぞれが主役になれるほどの全員を強烈キャラに仕上げたのです。それによって観る者はじょじょに1人1人を覚えられます。

良い群像劇とはまず全員を立てるキャラクタライズがしっかりしているのです。

登場時間の公平な配分

メインキャラ全員を立てることと共に、彼ら各々の撮影シーンの時間配分を平等に割り振ることも必要です。

この映画はそういうバランスの取れた構成でした。しかしヒュー・グラントやコリン・ファースなどは他のキャストに較べて出番が少なかったです。

彼らは誰もが知る大スターなので、あえて配分を少なくしたのではないでしょうか。

編集だけで4ヶ月を費やしたというだけあって構成力の光る映画に仕上がっていました。

キャストが微妙に絡まってゆく絶妙な構成

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20数人のキャストが完全にバラバラではなく所々でつながっているのも、群像劇の混乱を抑止する要因になっているでしょう。

例えばヒュー・グラント演じるイギリス首相は、エマ・トンプソン演じるカレンの弟だということが終盤になって分かりました。

ロックスターのビリーはキャスト全員に絡んでゆきます。有名人なのでTVに出ることが多く、TVを通じて多くのキャストと触れ合うのです。

少年のサムは空港職員がTV出演中のビリーを見ていたおかげで税関をすり抜け好きな子に会う事ができました。

ビリー・マックはクリスマスという一大イベント同様、このアンサンブル映画の大切な統合ファクターだったといえます。

マークは監督の自己投影なのか

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映画の中の数々のロマンスの中で、最も印象的だったのはマークとジュリエットの恋ではないでしょうか。そのマークについて掘り下げます。

監督の妻が言い当てたマークの正体

画家のマークは男友達の新妻・ジュリエットに片思いを寄せています。それがばれてクリスマス・イヴにちょっとしたロマンスが生まれました。

マークを演じたアンドリュー・リンカーンは日本でも人気のある俳優です。

なので多くの女性がこのシーンをベストだと思ったのではないでしょうか。

そしてマークは、実はリチャード・カーティス監督自身ではないかといわれています。それを指摘したのは何と監督の妻だったそうです。

何でも撮影中、監督がひときわ熱心にリンカーンに指示を出している最中、彼女が「マークはあなたね」と言ったといいます。

真意は分かりませんが、もしかすれば監督にもマークのようなほろ苦い片思いの経験があったのかもしれません。

マークを演じたリンカーンの思い入れ

マークはジュリエットに大きなボードを次々とめくって愛の言葉を伝えるというユニークな告白をしました。

日本人が観ればお笑い芸人がよく見せるフリップ芸にも近いものがあり少なからず笑いも誘います。

ボードに書かれた愛のメッセージはカーティス監督自身が考えた言葉でした。

5つのパターンがあり映画の女性クルーにどれがベストなのか選ばせたそうです。

しかしその言葉をボードに書いたのはマークを演じたリンカーンだったといいます。

ただ字に自信があったからだといいますが、それは照れ隠しではないでしょうか。

リンカーンは、監督がマークに並々ならぬ思いを抱いていることを知っていたはずです。

そこで彼もまたマークという役に深く入り込もうとしたのかもしれません。

彼がボードに自筆の愛のメッセージを書いたのは、そんな気持ちの表れだったのではないでしょうか。

自分よりも人の幸せを願う作家の性

レディースジュエリーファッションネックレスヒップホップメンズブロークンハート合金ハートブレイクペンダントネックレス ジュエリーの販売 (色 : Gold)マークはジュリエットの結婚式でカメラ撮影を担当し、幸せ絶頂の姿をみごとに映像化しました。ジュリエットは後に彼の気持ちに気づきます。

しかしマークは彼女の幸せを願う立場を選択しました。そこには映画監督というラブストーリーの作り手の真情も垣間見えます。

自分が幸せになるよりも、他人の幸せを見ていた方がハッピーになれる。そういう作家の性がマークの哀愁あるストーリーから感じ取れます。

ただのクリスマス映画ではない魅力

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映画のテーマは憎しみの時代に愛を広げようという点にあります。ヒースロー空港での数多くの一般庶民の愛溢れるシーンは象徴的です。

当時は9.11テロから間もない国際テロの最盛期。ニュースでは日々、世界中に憎しみが溢れているような報道がなされていました。

しかし冒頭のナレーションでもあるよう、目の前の現実に目を向けると憎しみよりも愛が感じられます。

『ラブ・アクチュアリー』という題のActuallyとは「本当のところは」といった強い現実性・実在性を意味する言葉です。

本当のところ、この世は愛に溢れているんだ。それが映画の最たるテーマでしょう。

私たちは日々ニュースなどで心を毒されているのではないか。そんな思いにもさせられる点で、これは社会派映画だともいえるでしょう