悲劇を繰り返さないために、後世に引き継いでいくべき映画です。

一つの命を救える人は、世界も救える。

引用:シンドラーのリスト/配給:ユニバーサル・ピクチャーズ

上記は劇中の台詞ですが、これはユダヤの聖書から引用されています。

個人が世の中の為に出来ることはほんの小さなものです。

しかし命を大切にするという個々の気持ちが、世界を戦争から救ってくれるでしょう。

とても重く、大きなメッセージとして心に響いてくるセリフです。

モノクロ撮影は実際の記録映画の為

大きな写真「シンドラーのリスト」憂愁のレイフ・ファインズ 画像あり

スピルバーグ監督はこの映画を製作する前、「ジュラシックパーク」を制作しています。

巧みな映像技術を駆使し、世界を唸らせた映画です。

しかし「シンドラーのリスト」は、あえて白黒映像としつつハンディカメラも使用して撮影しています。

真実の記録映画を作りたい

本作品は歴史の記録であり、監督が撮りたかったのは真実の記録だったのです。

娯楽映画のように大げさに誇張したり、迫力ある映像を見せるものではありません。

観る者がそこにいるかのように、観客が録画をしているかのようにリアルさを追い求めた結果が白黒映像というわけです。

ハンディカメラを使用することで更に、リアル感が増しています。

観客が考える映画にしたい

白黒の映画は想像力を働かせる必要があります。

どんな色をしていたのだろう、どんな空気だったのだろう。

色がないからこそ人は考え、感じることが出来ます。

戦争の記録をただ観るのではなく、心に刻み込んで欲しい、という願いも込められていたのではないでしょうか。

赤い服の少女はパートカラー

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色のない映像の中で、ひときわ目を引く赤い服の少女がいます。

彼女は何を観客に投げかけているのでしょう。

パートカラーを使用している

突如現れる赤い色はパートカラーという技法です。

観る者に強いインパクトを与え、心を誘導する時に使用されます。

しかしなぜ一人の少女にパートカラーを使用したのでしょう。

赤い服の少女は本作品のキーパーソンになっています。

シンドラーの行動を誘導していった

冒頭部分では、シンドラーはユダヤ人に対して特別な感情を持っていませんでした。

しかし赤い服の少女を見かけたことがきっかけで、心に変化が訪れています。

そして幼気な少女の遺体が運ばれるのを見た時に、どんな手段をとってでもユダヤ人を救済すると決意したのです。

このようにシンドラーの心に大きな影響を与え、行動を起こすきっかけとなったのが赤い服の少女だったのです。

シンドラーの視点を共有する

劇中でシンドラーは赤い服の少女に目を奪われますが、この時観客はシンドラーと同じ視線になるはずです。

幼い少女に何が起きているのか、ユダヤ人がどんなに酷い仕打ちを受けているのか……。

パートカラーを少女に使用することで、信じがたい真実に目を向けざるを得ない状態になるのです。

救えなかったユダヤ人を強調している

赤い服の少女は、シンドラーの心を動かす存在であるのと同時に多くのユダヤ人を表現しています。

リストに入れることが出来なかったユダヤ人達の象徴でもあります。

観客は幼い少女が殺されたことに痛烈な思いを抱くでしょう。

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