出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00GMA5GWO/?tag=cinema-notes-22
2009年公開の「コララインとボタンの魔女」はニール・ゲイマン著の児童文学作品をもとにしています。
子ども向けというには、少々不気味で切なさすら感じる作品です。
児童文学作品なのに、なぜ恐怖を感じるのでしょう……。
劇中に登場する魔女に注目しつつ、クモや猫が登場する意味も詳しく紐解いていきます。
ボタンの魔女の正体はクモ女
本作に登場する「別のママ」は魔女という存在でした。
ストップモーションアニメ独特の不気味さが印象的ですが、彼女はただの魔女ではありません。
クモが化け物になった姿
クモは糸を紡ぐ生き物です。
冒頭部分、人形の糸を外したり巧みに糸を操る姿はすでに伏線となっていました。
罠を仕掛け、かかった獲物を食べていくクモの姿は劇中のストーリーそのものなのです。
クモがどういう経緯で化け物(魔女)になったのかは明かされていません。
しかし、子供を罠にかけ愛してもらおうと必死な姿からは魔女の孤独を感じます。
多くのクモは子を産むと、子が孵化する前に母親は死んでしまうそうです。
また、ほとんどのクモは一匹だけで生きています。
子を愛し愛されたいというクモの強い想いが怨念にかわり、化け物に変えてしまったのかもしれません。
子どもに愛されたかっただけ
魔女はコラライン以前にも子供を誘拐しています。
始めから食べようと思っていたわけではなく、コラライン同様に自分の子供として受け入れたかったのでしょう。
しかし誘拐された子供達は、魔女を愛さなかったのです。
だから本意ではないとはいえ、口惜しさと悲しみで狂気となった魔女は子供達を食べてしまったのです。
待って! 置いて行かないで! あなたが居ないと死んでしまう!
引用:コララインとボタンの魔女/配給会社:フォーカス・フィーチャーズ ギャガ
逃げるコララインに魔女は上記のように叫んでいます。
必死に逃げるコララインに感情移入をして観ると、かなり怖いシーンです。
しかし魔女の狂気の裏に隠れた切ない感情を思うと、少し切ないシーンにも見えます。
残忍な別の解釈
魔女に関しては全く別の解釈も出来ます。
彼女は初めから子供の魂を食べることが目的で、その為に様々な嘘を並べ立てていたというものです。
この解釈から行くと、魔女の最後の言葉はあなたの魂を食べないと死んでしまう、というものになります。
捉えかたは人それぞれですが、ひとりひとりがどのように考えるのかも監督の意図した所ではないでしょうか。
魔女のその後を考察
劇中で手を古井戸に捨てられた魔女ですが、その後の彼女はどうなったのでしょう。
クモは手を取られても平気
クモは生きるのに必要な本数以上の手足を持っています。
それゆえ、1本くらい失っても問題はありません。
本作中に手をひとつ潰されてしまいましたが、彼女にとって致命傷となることはないでしょう。