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【SING/シング】ダメキャラたちが歌う本当の理由を考察!這い上がるためには何が必要?月のオブジェが暗示するものとは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0788BN7FM/cinema-notes-22

満月から始まり、満月に終わる物語。

「SING/シング」に登場する、どこか憎めないダメな部分を持った個性的なキャラクターたちは、どのような想いを抱えて歌うのか。

どん底に落ちた主人公バスター・ムーンが這い上がるためには何が必要だったのか。

月のオブジェが暗示するものとはなんなのか。

物語を通して観た者に勇気と情熱をプレゼントしてくれる、この物語を考察します。

SING/シングは満月から始まった

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映画はナナ・ヌードルマン(羊の女優)が主演を務める舞台から始まりますが、その時の舞台に輝く月は満月でした。

この舞台を観たことで、6歳の主人公はショーマンになることを決めます。

ナナが歌っているのは、ビートルズの「GOLDEN SLUMBERS」(直訳すると、黄金の眠り・黄金のまどろみ)。

主人公が夢を持つきっかけとなった舞台で、夢の世界に誘う子守唄を歌っているのは映画の始まりの演出としてみるべきものがあります。

ダメキャラたちが歌う本当の理由とは

SING/シング 【通常版】 (字幕版)

愛すべき特徴を持ったキャラクターたちには、それぞれの想いがあってコンテストに参加しています。

彼らが困難を乗り越えてまで歌おうとする、本当の理由とは何なのでしょうか。

ミーナ(象の女の子)が歌う理由

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家族以外の前で歌うことに極度に恐怖心を抱き、唯一歌声だけで観客を魅了できるキャラクターがミーナ。

日本語版ではMISIAが吹き替えをしていることもあり、キャラクター設定の説得力は素晴らしいものでした。

ミーナは家族をもうっとりさせるほどの歌唱力を持ち、本人も音楽が大好きで、常にヘッドホンをしています。

彼女が歌う理由はとてもシンプルで「歌うことが純粋に好き」というもの。

結局、最後まで人前で歌うことに対する恐怖心を克服したわけではありませんでした。

彼女の歌っているスティービー・ワンダーの「Don’t You Worry ‘bout A Thing」の中ではこう表現されています。

「ふみ出す勇気があればいいの…怖いものはない!」

引用:SING/シング/配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

大切なのは、恐怖心を克服することより、怖くてもふみ出す勇気を持つこと

そうすることで、彼女は純粋に「歌うことが好き」であることを表現するに至ったのです。

アッシュ(ヤマアラシの女の子)が歌う理由

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アッシュが歌う理由は二転三転します。

「自分たちの音楽を認めさせるため」から、「賞金でレーベルを立ち上げて、自分たちの音楽を世界中に届けるため」。

しかし、彼氏の浮気によってコンビは解散。

最後の舞台では、いざ歌おうとするとギターのシールドを抜かれますが、足踏みで観客に手拍子を求め、歌い始めます。

彼女にこれほどまでに逆風が吹くのは、アッシュのロッカー魂が本物であることを魅せるためだったのです。

歌う理由が二転三転することで、自分の本当の心に気づいたのです。

つまり、歌う理由は「反骨心、魂の開放」だったのです。

ジョニー(ゴリラの少年)が歌う理由

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ジョニーが歌う理由は、「本当の自分を生きたい」という理由ではないでしょうか。

歌う事の好きなジョニーは、父親の様な肉食系ではなく歌手として生きていきたいと考えていました。

ジョニーがコンテストのオーディションで歌ったのは、サム・スミスの「Stay With Me」。

「愛さなくていいから、そばにいてほしい」という歌詞は、父親に対する思いを表現しているのではないでしょうか。

父親の保釈金を得ようと、ムーン劇場の事務所に忍び入ったときに、ジョニーはターニングポイントを迎えます。

ムーンが自分の才能を認めていることを知り、過ちを犯す寸前で「本当の自分」を取り戻すのです。

ジョニーが舞台で歌うと観衆の感情を揺り動かし、総立ちのコールが起き、まさに「生まれながらの歌手」を体現しました。

マイク(ネズミの男性)の歌う理由

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ストリートミュージシャンではあるが音楽院を出ており、演奏も歌も実力は折り紙付きのマイク。

往年のミュージシャンを思わせる豪快な生き方のため、現代に生きる我々はなかなか感情移入できないキャラクターではないでしょうか。

彼が最後に歌う曲はフランク・シナトラの「My Way」

マイクのキャラクターを表現するのに、ぴったりな選曲でした。

マイクが歌う理由は常に「自己顕示欲」のためであり、我が道を行くキャラクターでした。

ロジータ(ブタの主婦)の歌う理由

GUND 映画 SING ロジータ #4059850

他のキャラクターとはモチベーションの違いが感じられるロジータ。

家事や子育てに忙殺される様子や、優秀な能力を持ちながら活かし所のない姿に、日本の典型的な主婦のイメージが重なります。

普段自分のしている家事や旦那との会話が、ロジータの作った装置で置きかえられてしまうシーンは興味深いものがあります。

表面的にはロジータの高い能力に舌を巻くシーンですが、少し考えると寂しさを感じざるを得ません。

それは、彼女の普段の仕事は極めて機械的であり、「自分でなくても」と思わせるに十分なものでした。

ここから考えられるロジータの歌う理由は「自分だからこそできること」であり、当初のダンスへの拒否感はその影響だったのでしょう。

ロジータはダンスに躓き出場を辞退しようとしますが、自分の中の「熱さ」に気づきブレイクスルーを果たします。

アッシュの曲からみえてくるもの

シング-オリジナル・サウンドトラック

元彼には「無理」と言われていたオリジナル曲作りでしたが、最高の曲を作り上げました。

タイトルは「set it all free」。意訳すれば、「自分を解き放て」といったところでしょうか。

本当の自分を解き放った後のアッシュの魅力は、それまでのスカしてるだけの印象とは段違いのものでした。

彼氏のためと思ってサブボーカルをしたり、自分の部屋に住まわせたり、身の回りの世話をするなど献身的だったアッシュ。

しかし、彼は気持ちに応えるどころか浮気をする始末。

キャラクターが示すとおりに「ヤマアラシのジレンマ」だったのでしょう。

映画の中では悪役の彼は、アッシュの実力に気づき、人知れず傷つき、無意識に距離をとろうとしていたのかもしれません。

だとしても、器の小ささは否めませんが…。

アッシュの曲は、誰かのためを思って自分を作りこむよりも、素直に自分の心に従う事の大切さを教えてくれたのです。

どん底から這い上がるためには何が必要なのか

人生には思わぬところに落とし穴があるといわれます。

どん底に落ちた後に這い上がるには何が必要なのか劇中から考察してみましょう。

本当に大切なものまでは失っていなかった

劇中で何度も印象的に使われた言葉があります。

「恐怖に負けて、夢をあきらめるな」

引用:SING/シング/配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

ムーンが父親から語り掛けられていたとされる言葉です。

私たちも何かに挑戦しようとするときに恐怖に負けそうになり、逡巡することがあります。

そんな時に、この言葉は力強いメッセージとなります。

ムーンは劇場が崩壊するまでは、借金で首が回らなくとも根拠のない自信を持ち、底抜けの明るさを持っていました。

しかしどん底に落ちたときに、初めて父親の言葉と本当の意味で向き合うのです。

劇場が崩壊し、エディ(羊の友達)の家に隠れている時に、励ますために訪れたミーナに心情を吐露します。

「怖くて怖くて仕方ない。」

「僕や君が恐怖を感じるのには理由があるんだ。本当はわかっているからさ。夢はかなわないって。」

引用:SING/シング/配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

これまで一度もヒットした企画を持たないムーンは、自分の現状に気づきながらも気づかないふりをしていたことがわかります。

それでも恐怖で足がすくみながらも引きこもることはなく、彼は一歩を踏み出すことを選びます。

彼には文字通り、一肌脱いで支えてくれる友人がいたことでどん底から這い上がることができました。

父の言葉と応援してくれる仲間、一緒に汗をかいてくれる友の存在。

彼は何もかも失ったように錯覚していましたが、これまでの生き方でどん底から這い上がるために必要なモノを手にしていたのです。

エディの部屋の中にあったメッセージ

映画パンフレット 「未知との遭遇」 出演 リチャード・ドレイファス/フランソワ・トリュフォー/テリー・ガー

ムーンが失意の中、エディの部屋に隠れていた時に仲間たちが励ましに来てくれたシーンがありました。

エディの部屋の壁には、1977年に公開された映画「未知との遭遇」を思わせるポスターがあります。

そのポスターには「WE ARE NOT ALONE!」というキャッチコピーが書かれています。

これは「未知との遭遇」のキャッチコピーで、「宇宙にいるのは 我々だけではない」という趣旨のものです。

ただ、劇中では同じ文章を「一人じゃないよ」と意訳するのが良さそうです。

エディはお金持ちのボンボンで放蕩息子まっしぐらでしたが、友の窮地を見過ごさず、一人にはしませんでした。

彼はダメな孫・息子とみられていましたが、しっかりと男気のある羊に成長していたのです。

月のオブジェが暗示するものとは

3D Moon文鎮 クリスタルガラス 月

冒頭にも書きましたが、本作は「満月から始まり、満月に終わる物語」です。

月のオブジェについて考察するために、劇中にある月を追いかけていくと面白い気づきがありました。

満月の劇場から物語は始まった

ナナ・ヌードルマンの舞台「epiphany」から始まりましたが、その舞台には満月が輝いていました。

「epiphany」とは「突然のひらめき」だったり「啓示」という意味を持つ単語です。

ムーンは文字通り「啓示」を受けショーマンとなることを決意しました。

月の満ち欠けからみる劇場の盛衰

次に月のオブジェが現れるのは、ムーンが給料の不払いや銀行からの取り立てから逃げるときでした。

その時の月の形は「明けの三日月」と呼ばれる形で、非常に頼りなく、弱い光を発するものとなっていました。

まさに、そのときのムーン劇場の勢いを表しています。

「明けの三日月」のあとには「新月」が待っているのも、未来を予測させる伏線としてのものでしょう。

劇場の崩壊と月

劇場が崩壊するとともに、月のオブジェも砕けてしまいました。

つまり、月が見えない状態である「新月」です。

一時は満月のごとく人々を魅了し、光り輝いていた劇場もついに見る影もなく崩れ去りました。

満月を背負う者の存在

太陽のようにあまねく照らす存在ではないものの、ムーンという人物の発する光を浴びて輝く姿は、まさに月を感じさせる存在です。

多くの演者が盛り上げた舞台にのぼり、劇場の復活を決定づけたのはミーナという新しい満月を背負う者の存在でした。

まとめ

Golden Slumbers

劇場の再建のBGMは「GOLDEN SLUMBERS」であることには、どんな意味が込められているのでしょうか。

オープニングが同じ曲で始まったのは、ムーンをショーマンの道へと誘うためでした。

劇場の再建の際にも同じ曲を使うという事は、新たな夢の世界へと誘う伏線と考えられるのではないでしょうか。

事実、マイク以外のキャラクターが揃っての劇場前での集合写真は意味あり気です。

ムーンは新生ムーン劇場で、多くの仲間と共に新たな夢をみることになるのでしょう。

その夢の続きは続編で確認することにしましょう。