バージェンスはマレーシア語で、人間のことを「Orang・オラン」と呼ぶことに注目したそうです。

マレーシアに生息するオラン・ウータンも直訳すると「森の人」という意味になります。

後述もしますがバージェンスは他言語と英語を組み合わせる言葉遊びが好きです

なので『A Clockwork Ogange』のオレンジにオランを重ねたとしてもおかしくありません。

むきだしの非力な果実

Clockwork Orange ハードカバー

オレンジはただ単に果物のオレンジをイメージしたものとも取れます。

多くの人はアレックスのようにみずみずしい若者のメタファーだと捉えているのではないでしょうか。

また彼はルドヴィコ療法によって、横暴な人にも抵抗することができず子どものように非力な若者になってしまいました。

そのあまりの脆弱さもまた果実であるオレンジのむきだしの弱々しさと重なります。

アレックスはオレンジのように簡単に握りつぶせる哀れな男になってしまったのです。

ナッドサット語を解説

Modern Classics a Clockwork Orange (Penguin Modern Classics)

『時計じかけのオレンジ』では語り手のアレックスが奇妙な言葉・ナッドサット語を口にします。その語源と効果について解説しましょう。

英語とロシア語の混成語

原作者アンソニー・バージェンスは言語学者でもあり、多くの言語に通じていました。本作のセリフでは英語にロシア語が混ぜられています。

ナッドサット語という名称もロシア語から来ています。

英語では数字の13から19までが「Thirteen, Fourteen, Fifteen」というふうに続きすべて最後に「teen」が入ります。

ロシア語でも英数字とほぼ同様に11から19までの数字の最後に決まった言葉(接尾辞)が入ります。それがナッドサットです。

つまりナッドサットとは「複数のTeen・若者集団」を表すロシアの隠語だといえるでしょう。それは若者言葉の総称としてピッタリです。

キューブリック監督のティーンカルチャーへの敬意

バージェンスの原作を受けキューブリック監督が映画にもナッドサット語を入れたのはなぜでしょうか。

普通なら英語圏の人でも分かりづらいので回避するものです。また日本などの非英語圏の国では翻訳しづらくなります

それでもキューブリックがあえてナッドサット語を積極的に入れたのは若者たちへの敬意からではないでしょうか。

言語というのは文化やコミュニティに直接結びついています

そのためアレックスたちが独自の人工言語・ナッドサット語を話すことは、1つの独立した世界を作り出していることを印象づけます。

それが悪の帝国だとしても、彼らは大人の汚れた世界には染まろうとはしていません。ナッドサット語はそんな若者の誇り高さをも伝えます。

人工語で言語の風化を抑止

Stanley Kubricks a Clockwork Orange ペーパーバック

『時計じかけのオレンジ』は公開から約半世紀もの時を経ながら未だに鮮烈です。

ファッション・室内装飾・映像効果などなど。そういったものが目に見える形で時を越えたシンプリシティと芸術性を訴えてきます。

そしてナッドサット語もまた時代の風化から作品を守っているといえるでしょう。

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