二人を通して映画を観ている自分たちが持っているコンプレックスに対する考え方、乗り越える方法を探すことを促しているのではないだろうか。
アカデミー賞受賞で議論を呼んだワケ
アカデミー賞受賞が物議
本作「グリーンブック」はアカデミー賞受賞した際に議論を呼びました。
その中でもっとも言われたのはストーリーに大きく関わってくる人種差別の部分に関することです。
映画を観るとわかるのですが、本作の主人公は運転手兼ボディガードであるトニー・ヴァレロンガです。
トニーがドン・シャーリーとの旅を通して黒人に対する偏見や差別意識に疑問を持ち考え方が変わっていくのが本筋になります。
ここで議論を呼んだのは、黒人差別が白人のせいではない、といっているように観えてしまった点です。
作中を観ていると、差別があることは伺えますが自分たちのせいだと感じているシーンはほとんどありません。
たしかにトニーは差別意識に対して考え方を改めますが、なぜ自分が差別意識を抱いていたのか偏見を持っていたのかについてまでは考えていません。
そのこともあり、アカデミー賞受賞に関して議論を呼んでしまったのでしょう。
監督ピーター・フォレリー
「グリーンブック」の監督を務めたのがピーター・フォレリーであることも、アカデミー賞受賞に議論を呼んだ原因の一つとされています。
ピーター・フォレリー監督は今までも数多くの作品を監督・脚本・製作してきました。
ただ本作の「グリーンブック」以外の作品の多くは、お下劣なコメディー映画であることが批判される要因なのではないでしょうか。
それでも2018年にトロント国際映画祭でも「グリーンブック」が観客賞を獲得していることを考えれば、作品として確かな評価はされていると思います。
まとめ
本作「グリーンブック」は何を伝えたいのか
アカデミー賞受賞で議論を呼んだ「グリーンブック」ですが、本作を観ていると自分でもハッとさせられるシーンがあります。
人種差別に限らず、私たちは無意識になにかしらに対して偏見や差別をしてしまっているように思います。
現代でも当時の黒人差別と同じように根付いている考え方に染まってはいませんか。
自分で考える前に周りから受ける考え方に左右されてしまい、相手のことを知りもしないで偏見の目を向けてしまっているのではないでしょうか。
一度根付いてしまった偏見や考え方は簡単に変わるものではありません。
ただ「グリーンブック」で描かれていたようにお互いに関わっていくことで、トニー・ヴァレロンガとドン・シャーリーのように考え方を変化させることができるかもしれません。
お互いが相手のことを本当に知ることが大切だということを伝えていると感じました。