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【スウィング・キッズ(ネタバレ)】ロギンの兄がアメリカ軍人に発砲した理由を考察!舞台に戻って一人で踊った真意を読み解く

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B089FNJ6JX/?tag=cinema-notes-22

【スウィング・キッズ】は素人ダンサーたちが元プロダンサーであるさえない黒人によって成長させられるというサクセス物語ではありません。

主演が韓国のアイドルグループEXOのド・ギョンスだからといって単なるアイドル映画でないことはもちろんです。

この作品はイデオロギーという悪霊に取り憑かれた人間の愚かさを冷徹に描いた問題作に仕上がっています。

この物語で幸せになる人は誰もいません。多くの登場人物は死んでしまうのです。

しかしながら、悲惨さの一方で人間として揺るがないものを見いだそうとする姿勢がこの作品の質を高めています。

イデオロギーの犠牲者たち

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この作品の本当の主役はイデオロギーという悪霊です。この悪霊に取り憑かれた多くの人間が犠牲になっていく物語なのです。

この悪霊はたちが悪く、人の世が続く限りいつの時代にも蔓延っていきます。

でもこの悪霊というイデオロギーを作り出すのは人間なのです。

イデオロギーとは

イデオロギーは抽象的な観念です。政治的な姿勢や宗教的な考え方を包括的に表すものとされています。

人間以外にイデオロギーを持つ生物は地球上に存在しません。人間だけがこのイデオロギーによって同族を殺したり虐待するのです。

自己の生存や種族の存続以外の目的で互いに傷つけ合い、殺し合うという人間の愚かな行為の源泉になっているのがイデオロギーともいえます。

スウィング・キッズの面々

ジャクソンが結成したタップダンスのチームであるスウィング・キッズの面々は様々な境遇を持つ人間の集まりです。

彼・彼女らはイデオロギ-がもたらす大国間の争いや同族間の諍いによる犠牲者といえます。

ある意味で彼・彼女らはイデオロギー対立の犠牲になった世界中の多くの人々の代表なのです。

ジャクソンが所長による暗黙の圧力にも屈せずショーの口上で述べたように、彼・彼女らは世が世であれば普通の生活ができたはずです。

ギスの兄

ギスの兄ギジンもイデオロギーの犠牲者の一人です。体制によって虚構の英雄像に祭り上げられた彼は哀れな存在といえます。

彼には人として当然あるはずの恐れや同情の気持ちを表すことが許されないのです。

ひたすら体制の描いたストーリーによって英雄像を演じ続ける彼の精神は病んでおり、幼いままの精神状態であることがなおさら哀れを誘います。

そんな彼もギスへの兄弟愛だけは失っていませんでした。

揺るがないもの

兄弟

この作品を格調あるものにしているのが、イデオロギーに翻弄される中でも揺るがないものがあることにスポットをあてていることです。

これがなければこの作品はただ悲惨さを描いたものだけに終わっていたことでしょう。

人間の愚かさを見せつけながら、極限状態でも人間にはこのような暖かい側面があることを描いていることがこの作品の救いになっているのです。

兄弟愛

夜中に寝床を抜け出したギスと兄のギジンが外で戯れるシーンは心温まります。