この作品のもう1つの見どころは、やはりホラー要素満載の亡者が襲ってくるシーンです。
では、そのホラーシーンにはどういった意味があるのでしょうか?
それぞれが犯した過去の罪とは
今回、主人公たちを襲ってくる亡者は作品中でも言及されている通り、自分の過去の罪に関係している人物たちばかりです。
例えば、主人公のスカーレットであれば父の自殺、ジョージは弟の死について罪を感じていました。
全員が後悔をしていたかはともかく、何かしらの罪を意識していたのは事実です。
なぜ自分の罪に関係する亡者が現れたのか
死者の国であるカタコンベで、自分に関係のある死者と出会っても不思議ではありません。
しかし、ただ脅かすだけ、生者を死者の国に引きずり込むだけが目的であれば、関係のない亡者が現れても問題ないはずです。
では、なぜわざわざ主人公達に関係する死霊が襲ってきたのでしょうか。
これは、死霊が現れたタイミングにも関係があると考えられます。
多くの場合、亡者が現れだしたのは賢者の石の模造品を手に入れてからです。
スカーレットは目の前にある黄金に対してトラップだと伝えていますが、そもそも襲ってきた亡者自体がトラップだったのではないでしょうか。
侵入者たちの過去に関わりがある亡者が出現する、あまつさえそれらが襲ってくるとなれば大抵の人は耐えることが出来ません。
模造品であれ傷を簡単に癒すことのできる賢者の石。
それを奪われないためにカタコンベならではのトラップを仕掛けておくというのは有り得ることなのです。
なぜ3人は救われたのか
最終的に助かった3人とその他の者の違いは、スカーレットのいう通り罪を告白したことです。
罪を告白し懺悔をするという行為は、キリスト教の中では非常に重要な意味を持ちます。
こうすることによって罪を許され、新たに生きていくことが出来るとされているからです。
死者の国であるカタコンベから戻る為には、この贖罪がどうしても必要だったのでしょう。
彼らは亡霊たちに生かされた、という解釈も可能かもしれません。
ただのホラー映画とは一味違う「地下に潜む怪人」
いかがでしたでしょうか?
この映画はただのホラーアドベンチャーではなく、実在する人物と場所・伝説が複雑に絡み合って物語が進んでいきました。
賢者の石やカタコンベ、なぜ亡者に襲われたのか等、背景を考察しながら観ると新たな発見がたくさんできると思います。
ぜひ、もう一度細部に目を凝らしながら映画を観てください。
きっと随所にちりばめられた布石に気付けるでしょう。
そして単なるB級ホラーでもパニックムービーでもなく、モキュメンタリーとしての面白さを堪能できるはずです。