当時のメリックはかなり衰弱していた様なので、寝る体勢をとることもままならなかったのかもしれません。

普通への憧れ

エレファント・マン (1981年)
メリックは普通の人間に憧れ続けました。

1ヶ所の遺伝子に異常があっただけで、彼は普通という当たり前過ぎる言葉にその人生を費やしたのです。

しかしこの「普通」とは一体何なのでしょうか。

普通の定義

「普通」という言葉をはっきり定義するのは難しいと思います。存在しているようで存在しない言葉ではないでしょうか。

使う人によって「普通」の意味は変わってしまうのですから。ジョンは外見を除けば普通の人間と何ら変わりません。

では、普通の人間と普通じゃない人間の差はどこにあるのでしょうか。

特別な存在

yti511 洋画映画チラシ「エレファントマン」デヴィット・リンチ監督
普通の反対の言葉を辞書で調べてみると「希少、異常、特別」などと記載があります。

メリックはその病気により希少さと異常さが人々の目を引きました。

しかし彼の内面を知った人は、彼が特別な存在だと気づいたはずです。上流階級の人々から愛された理由はここにあるのでしょう。

普通を求めていたメリックは自分の特別さを知らずにこの世を去りました。

自分のことを1番知らないのは自分自身なのかもしれません。

変化の物語

【映画チラシ】エレファント・マン ニュープリント版 デヴィッド・リンチ
映画「エレファント・マン」はその特殊性のため、異形の種を差別する作品であると批判されることがあります。

しかし監督が本当に描きたかったのは人が人と接し、変化する姿だったのでしょう。

メリックを取り巻く人々・環境・メリック自身も物語のラストに近づくにつれ変化しています。

周囲の変化

メリックを見た人は嫌悪し、拒絶しました。

もしくはトリーブス医師のように医学的な好奇心から彼に近づく人も。

院長もメリックの受け入れを拒否し、看護婦でさえも彼を見ただけで恐怖を露わにしました。

誰もがメリックの外見ばかりに注目し、本当の彼を見ようとしません

しかし彼と接しているうちに周りの人達も変わっていきます。

純粋で優しいその人柄に触れたことで、自分がいかに偏見を持って彼を判断していたか思い知るのです。

そして最後にはメリックを1人の人間として接しました

メリックの成長

戯曲ーエレファントマン―The Elephant man
メリックは自己主張したことがありませんでした。

劣悪な環境で働かされている時も流されるまま抵抗もせずただ生きている状態。

彼の生い立ちからしたら仕方ないのかもしれませんが、メリックは人生を半ば諦めていたのでしょう。

街中で知らない人に追いかけ回された際、自分は人間なんだとようやく意思表示をするシーンがあります。

これにより彼は自分の人生を歩むことができたのです。

人を外見で判断するのは悪いことと断言することはできません。しかし相手の本質を見ようとしないのはもったいないことです。

もしかしたらその相手があなたの人生に光を与えてくれる人間かもしれないのですから。

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