他にもひそかに奇跡を起こしていたのではないでしょうか。
アランには「今(未来)だから理解できた父親の愛情」への感謝を示し、靴を壊したことへの謝罪の機会が与えられました。
それは困難を乗り越えたアランたちへの「償う機会」のプレゼントだったのかもしれません。
ジュマンジが誰の手によって何のために製作されたかは、わからないままです。
ですが少なくとも4人にとっては幸せな未来の実現を助けるものとなったようです。
ジュマンジのテーマ
もしタイムスリップできるならいつの時代に戻りたいか考えたことがある人は多いのではないでしょうか。
「過去をやり直し未来を書き換える」。このことは一見アンタッチャブルなテーマです。
願望の実現
実際幼いころに犯した過ちを、人は意外な程鮮明に覚えています。
罪の意識に苛まれながらも取り返しがつかないこととして自分の気持ちにふたをする。
心の奥の引き出しに二度と顔を出さないように、しかし丁寧にしまいこんでおくものです。
そうした「誰もが持つ願望の実現」もテーマの1つではあるように感じますが、本作のテーマはそれだけではありません。
本当の成長と試練
「困難を伴う試練を乗り越えたとき、人は少しだけ成長できる」というのが本作のもう1つのテーマであるように感じます。
そうした意味では「ありふれたテーマ」といえるかもしれません。
しかし、ややもすると「ベタで説教くさくなりがちな」このテーマ。
それを、当時の先鋭技術をふんだんに使った3DCGを用いたアドベンチャーとして演出。
「過去への清算」というアンタッチャブルな題材を、夢と現実の境界線を取り払うかのように幻想的に描いています。
想像力を働かせ続けることと困難を覚悟し、労力をいとわないことができれば、やり直せないことなどない。
映画のキーとなるポイントを見ていくと、そんな人生の教訓が見えてくるのではないでしょうか。
ジュマンジの世界に迷い込む
「ジュマンジってどんな映画?」と聞かれるとついつい「ボードゲームの特殊効果がすごい映画」と答えてしまいたくなります。
その実、奥には人が生きていくために大切なメッセージがたくさん散りばめられています。
今改めて観ても古臭さを感じず、20年以上経ってはじめて作品の持つメッセージに気づくこともできました。
昔観た方も、改めて「過去」と向き合い、再びジュマンジの世界に迷い込んでみませんか?