もし夢を見続けるなら、今後デイヴィッドは悪夢を見ることはなく幸せな夢に浸れると約束したのです。
精神科医はデイヴィッドの作り上げた理想の父親
デイヴィッドは、夢の中で自分を支える存在としてソフィアを登場させますが、その他にもう一人の人物を登場させています。
それは自分を救う存在の精神科医。ソフィアたちと違う点は、彼はデイヴィッドが生み出した実在しない人物ということです。
昔見た映画が君の理想の父親像を創った
引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
救護員は精神科医であるマッケイブについて上記のように語っていました。
この話を聞いたとき、デイヴィッドはLEについて半信半疑の状態で、それを象徴するのがマッケイブの下記のセリフです。
こいつらは危険だ
早く下に降りよう引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
マッケイブにこのセリフをいわせたのは、彼を作り上げているデイヴィッド自身なのです。
マッケイブのセリフの総てが、デイヴィッドの心の声と捉えることが出来ます。
デイヴィッドはマッケイブのような、側にいてくれる父親を潜在的に望んでいたのでしょう。
上手いミスリード
本作を難解に感じさせているものは、制作者サイドの上手いミスリードによるものです。
デイヴィッドの錯乱が殺人を犯した
劇中の夢の中でデイヴィッドは錯乱します。
ソフィアがジュリアナに見え、事故の後遺症のような現象が繰り広げられます。
彼の精神錯乱が現実に犯罪を起こさせたのだと、観る者を上手くミスリードさせていくのです。
冒頭部分にいれられた下記の精神科医のセリフは、観客の視点をデイヴィッドの犯罪に向けるミスリードの役割をしています。
なぜ容疑者に?
引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
観客はこのマッケイブのセリフに吸い込まれるように、なぜデイヴィッドが罪を犯したのかに関心を引き付けられるのです。
ソフィアと深い関係だったわけではない
劇中にはソフィアの登場シーンが多く、ソフィアと深い関係のような気がします。
しかし、冷静に観てみるとブライアンがパーティーに連れて来た夜しか彼女と会っていません。
その後デイヴィッドが彼女に会ったのは事故の後、踊りのスタジオに彼女を誘いに行ったときです。
夜のクラブでデイヴィッドは、一回しか会っていないといったソフィアに怒っています。
しかし1回しか会っていないのは本当のことなので、デイヴィッドは勝手に深い関係だと思い込んでいたことになります。
ソフィアにとっては、これから始まる恋という感じだったのかもしれません。
しかし事故後に訪れた彼は見た目も内面も変わっていて、実際の彼女は逃げ出していたのです。
ソフィアとは深い関係だという彼の思い込みも、観客をミスリードさせるきっかけでしょう。
彼とソフィアの関係を深いものと判断してしまえば、その後展開するデイヴィッドの夢も現実のように観えてしまうのです。
最後のセリフ「OPEN YOUR EYES 」
ラストシーンは様々な考察がされている場所です。
最後にデイヴィッドが目覚める「OPEN YOUR EYES」は誰の声なのか……。
LE社のスタッフの声
Relax, David.
Open your eyes
引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
現実社会ではジュリアナが目覚まし時計に入れていたセリフです。
150年後の今、彼を目覚めさせたのはLE社のスタッフではないかというのが有力でしょう。