映画終盤でノアが持つ本には手書きの署名があることが確認できます。
そこには、以下のように書かれていました。
愛の物語 アリー・カルフーン著
最愛のノアへ
これを読んでくれたら、私はあなたの元へ
引用:きみに読む物語/配給会社:ギャガ
映画では描かれていない部分ですが、認知症になったアリーは自分の大切な思い出を文章にして残しました。
そして、ノアに読み聞かせてもらうことで思い出せるように試みたのです。
ノアは何度も自分のもとを去るアリーを待ち続ける生涯でした。
でもそれは不幸なことではなく、彼にとっては辛くもあるが幸せなことだったのではないでしょうか。
なぜ、こうも感動するのか
2004年に制作された映画が時代を超えて、多くの人を感動させるのはなぜか。
その要因を考察していきましょう。
限りなく一途
ノアもアリーも失意の後、しばらくはパートナーをつくらず一人で過ごしているものの、心の隙間を埋めようと他の誰かを求めます。
しかし、その他の誰かでは、もっとも深く求めあった時の愛情に届くものではないことを感じてしまっています。
「初恋は忘れられないもの」と言いますが、初恋が成就して燃え上がったのでは、それを超えるのは難しいのでしょう。
理想の愛情
上述した「限りなく一途」というのは「理想の愛情」の条件の一つではないでしょうか。
認知症になった妻に愛し合っていた事実を思い出してもらおうと、友達として物語を読み続ける夫の姿は感動を誘います。
読み聞かせをしていると、以下のようなやり取りがあります。
いいお話だわ
気に入った?
前に聞いた気が…
ああ
しかも何度も
引用:きみに読む物語/配給会社:ギャガ
ここから、これまでにも何度も「この物語を読み聞かせをしては忘れる」ということを繰り返していることがわかります。
ノアは生涯を通して何度も、アリーが物理的に、または病気によって、自分の元を去る経験をしています。
その喪失感や辛さは計り知れませんが、彼は何度も試練に耐え、アリーを求め続けているのです。
この愛の深さゆえに「理想の愛情」を感じ、感動を覚えるのでしょう。
合理的ではないが、奇跡は起きると信じ切っている
アリーの認知症について、医師が論理的かつ科学的見地に基づいて「認知症は回復しない」と告げると、ノアは諭すように伝えます。
神の力は、科学の限界を超える
引用:きみに読む物語/配給会社:ギャガ
何度もすれ違い、衝突しては乗り越えてきたノアとアリーは、自分たち二人はこれまでのように奇跡を起こせると信じているのです。
二人の愛情の深さこそが、奇跡を信じる力の源泉になっているんですね。
名言の真の意味
「きみに読む物語」の中には心を打つ名言がいくつもあります。
その名言の真の意味についても考察していきたいと思います。
心をえぐるプロポーズの言葉
婚約者の元へ帰ろうとするアリーに対し、ノアが思いのたけを伝えるシーンでの名言です。
うまくやるのは難しい
努力が必要だ
でも俺は努力したい
ずっと君が欲しいから
一緒にいたいから
お願いだ
将来を思い描いてみて
30年後、40年後、誰と一緒だ?
もしヤツなら行け!
それが君の望みなら俺は耐えていける
無難に選ぶな
引用:きみに読む物語/配給会社:ギャガ
ノアは青年時代から一貫して、自分の思いを大切にしてきました。
アリーに対しても自分の気持ちに正直になることを求めます。