しかし、日本ではかなり奇抜なアイデアであり、本当に日本の漫画なのかという疑問もわきます。
17歳の日本人の高校生が姉の妊娠からヒントを得て作ったということも書かれたWEBもあります。詳しくはこちら。
しかしGoogle検索してもタイトル画しか出てきません。
また多くの英語WEBで脚本家コーディの創造だとあるのでほぼフェイクと見て間違いありません。
ちなみに最初コーディはマークがジュノに見せるものとして妊娠したロックスターのポスターを選びました。
が『妊婦ユキ』の方が作風に合っているので差し替えたようです。この漫画の表紙画もまた映画のポップ・テイストを強める小道具になりました。
ジュノがマークたちの前で泣いた理由
ジュノがマークとヴァネッサ夫妻の前で大泣きするシーンはインパクト大でした。彼女は何事にも動じないクールな少女だったからです。
泣いたのは第一にマークとの信頼関係が崩れたからでしょう。彼がジュノに言い寄るシーンはこの映画最大のポイント・転換点でした。
それによってマークがいつまでたっても成長できない大人だということが分かります。そして実はそれはジュノの一面でもあったはずです。
妊娠してもそれを他人事のようにクールに受け流すジュノもまた未熟なティーンそのものでした。
そのためジュノがマークたちの前で大泣きしたのは、彼女がマークの中に自分自身の甘さも見出したからだとも読み取れるのです。
ジュノはマークを通して自分自身のみじめさも実感したのではないでしょうか。
マークに泣き、ポーリーにも泣かされたジュノ
ジュノの出産直後、同級生であり子供の父親でもあるポーリーは病院に駆けつけます。そしてジュノは彼とベッドに横たわり涙しました。
これはマークの前で流した涙とは極めて対照的なものでした。それは愛にあふれたものだったのです。
そこには子どもが無事に産まれたことの喜びやわが子を手放す哀しみもふくまれていたことでしょう。
しかし、それよりも彼女は出産によってポーリーの愛が確かめられたことが嬉しかったのではないでしょうか。
ジュノはずっとポーリーを邪険にしていましたがそれは愛の反動だといえます。
妊娠したことによってポーリーに振られるのが恐くなり、それを隠すために1人で強がっていたことが読み取れます。
しかし実際ポーリーはずっと彼女を思い続けていました。
出産後のジュノの涙からは愛の成就への喜びと共に、彼女が自身の弱さを受け入れた潔さが感じられます。
ジュノは2人の男に泣かされたことで、より深く自分を知ることができたといえるでしょう。
子どもは手放しましたが、彼女は大人の女性へと大きく飛躍したのです。