アイリッシュを助けようとしたコナンの強さを認める瞬間など、敵ながらコナンの仲間になってくれたらどんなに心強いか…。
そう思ったファンも多かったのではないでしょうか。
最終的に命を落とすアイリッシュですが、彼の強さや不屈の精神はこの作品だけで終わるのが惜しい程の存在なのです。
さらにベルツリータワーのシーンでは連続殺人事件解決にも一役買ったアイリッシュ。
ちなみに、アイリッシュが回収したSDが入っていたお守りの持ち主は代議士秘書の岡倉政明だったとのことで、彼が黒の組織の人間だったと推測できます。
ここではコナンの敵でありながら愛されるキャラクターとなったアイリッシュの魅力は何だったのか、考えてみましょう。
コナンとの関係
お互いにお互いの正体を探り合っているおもしろい構図の2人ですが、それぞれの気づきのきっかけと、確信した描写はどうだったのでしょうか。
コナンに目を付けられる
実際にベルツリーで会うまで確信はしていなかったようですが、ベルモットではない誰かが潜入していると聞いたコナンは、疑い始めます。
なぜなら、彼女とは体の大きさがあまりにも違う、一番大柄な管理官に変装していることに気づいたから。
この瞬間にベルモットが偽物であり、その偽物がアイリッシュだと確信したのです。
コナンの正体に気づくアイリッシュ
陰ながらコナンに目をつけられたアイリッシュでしたが、彼も逆にコナンに目をつけていましたね。
ベルモットに工藤新一のことを聞かされていたアイリッシュは彼に興味を持ったのかもしれません。
もちろん本来の目的はNOCリストの回収でしたが、映画の題名「漆黒の追跡者」はコナンとコナンの正体を探るアイリッシュの対立を表していたとも考えられますね。
アイリッシュとジン
アイリッシュはかつて父のようにピスコを慕っていました。しかしピスコはハイドシティーホテルでジンに焼死させられてしまいます。
そこからジンを恨み、失脚させる機会をうかがっていました。
ジンへの恨み
作中にコナンと新一が同一人物だと突き止めたアイリッシュはジンに「工藤新一を覚えているか」と聞きましたがジンの返事は期待していた反応は違っていました。
バラした(殺した)やつのことなんざいちいち覚えてねぇ
引用元:名探偵コナン 漆黒の追跡者 配給会社:東宝
過去にピスコを殺されているアイリッシュにとっては耐え難いものがあったのでしょう。
自分が殺した人物を覚えておらず、それを当たり前のように豪語するジンへの憎しみが募るのが分かるシーンでもありました。
そして新一を殺し損ねたことを糾弾するために、コナンを「あのお方」の前に連れていくことを決めます。
ジンとアイリッシュの関係
ジンとアイリッシュの立場関係ですが、ジンは結構きつい言葉をアイリッシュに浴びせていたことから彼の方が立場的には上なのだと推測できます。
しかし大切な人をジンによって奪われた悲しみや憎しみは、時が経つにつれ大きくなっていったことでしょう。
ピスコの仇を取ろうとするアイリッシュの気持ちは、見ているこちらにも十分すぎる程伝わってきたのではないでしょうか。
大切な人を失ったことで変化した組織内での立場
アイリッシュの言葉から感じる切ない心情
蘭を倒し、逃げたコナンを追いかけて上へ向かう途中、ヘリコプターに乗ったジンたちと合流しますが狙撃されてしまいます。
即死を免れたアイリッシュでしたが、それを見ていたコナンはアイリッシュを助けようとしました。
引用元:名探偵コナン 漆黒の追跡者 配給会社:東宝
このシーンはなんともいえない感動がありましたね。
コナンの救出も敵からの執拗なまでの狙撃には敵わずアイリッシュは瀕死の状態になってしまいますが、それでも助けようとするコナンに言ったセリフが印象的です。
どおりであの女が惚れるわけだ…。
引用元:名探偵コナン 漆黒の追跡者 配給会社:東宝
この一言から分かるのは、アイリッシュがコナンの魅力に気が付き、コナンの強さを思い知ったということです。
その気持ちを言葉にするなら「恐れ入った…」でしょうか。
同時に、初めてベルモットのコナンに対する想いが明らかになったことでも波紋を呼びましたね。
失った忠誠心
アイリッシュはコナンに担がれた状態で絶命してしまいますが、彼は最後の言葉を次のように遺します。
工藤新一…どこまでも追い続けるがいい…
引用元:漆黒の追跡者 配給会社:東宝
大切な人をジンに奪われたという、アイリッシュの悲しみと憎しみが伝わってくるシーンでもあります。
この描写は、アイリッシュの心が組織から離れていっていることを表しているのではないでしょうか。