スマホの登場などにより、今、その影響を一番受けているのは現代を生き抜いている子供たちなのではないでしょうか。
LINEを始め様々なツールで情報が飛び交うこの時代、非常に生きにくい時代といっても過言ではないです。
原作をアップデートした意味は、やはりそういった時代背景がなければ、この「ぼくらの7日間戦争」は成り立たないからといえます。
スマホやSNSの登場でそれに振り回されてしまう子供達の困難や苦悩、またそのツールの便利さも色濃く反映しているのがこの映画です。
今を生きる子供達への応援歌
「ぼくらの7日間戦争」は今という困難な時代を生き抜く子供達を応援する作品ともいえます。
複雑な時代になったけれども、スマホなどの普及で便利になった点もたくさんあるのは事実です。
自分の言いたい事に蓋をして生きるだけでなく、もっと素直な生き方もできるよ、とこの作品は提示しています。
“七”が“7”と表現されているように、「ぼくらの7日間戦争」は令和を生き抜く子供への応援歌へと生まれ変わったのです。
原作をアップデートした意味は、その時代背景に違和感を与えない為の手法といえるでしょう。
現代問題を描写した意図
今作品では貧困問題、外国人の不法滞在、LGBT、ネット社会の怖さなど現代問題を色濃く映した描写がありました。
その意図に迫っていきます。
一筋縄ではいかない物語
物語の序盤では守と綾はきっと両思いになるのだろうな、という風に考えていた方が大半だと思います。
綾がLGBTで親友の香織に想いを寄せているという描き方は、まさに現代ならではといえるでしょう。
ここで一つわかるのは「ぼくらの7日間戦争」は単なる男女の色恋物語ではないという事です。
今という時代の鏡のような社会派アニメ映画ともとれます。
ただの青春映画、恋愛映画で終わらず、もっともっと深い人間ドラマを描いた作品なのです。
ネット社会の闇
SNS上で顔写真を拡散された事で壊れたかに見えた彼らの絆ですが、その事件により絆はより強固なものとなりました。
この描写から見えるものは、顔の見えないネットの怖さもありますが、人間の脆さと強さを同時に描いているのです。
沈黙を破ったきっかけになったのは守という存在でした。
「ぼくらの7日間戦争」は誰も僕に興味がないと、そう思っていた少年の勇気でやがて周囲の人間をも変えていく少年少女の成長物語なのです。
マレットという存在
「ぼくらの7日間戦争」において最も重要なキーパーソンとなるマレット。
彼女の出現でこの物語は大きく動く事となりました。
7日間、ただ親に反抗して古い石炭工場に立てこもるだけの物語でなく、彼らには守るべき大切なものができたのです。
マレットの身を守る事でただの7日間のバースデーキャンプが一生忘れられない出来事となりました。
マレットの家族を探す事は彼や彼女にとって自分探しの冒険ともいえます。
今作品で現代問題を描写した意図は、彼や彼女が“自分らしさ”というものを見つけていくかけがえのない7日間を描きたかったからです。