ロケットは3人の心を蝕みますが、特にロンはその影響を強く受けてしまいやすく、ハリーとハーマイオニーに対して、怒りと疑いの心を強く持ってしまいます。
仲間割れが表しているもの
人間は、いかに強い信頼関係・友情関係を築いていたとしても、自分の心が弱っているときに恐怖の塊を所有していると、相手を疑い、イライラし、分裂を引き起こす感情を持ってしまうということを表現しているように感じられます。
この3人は幼い頃からの付き合いで、様々な困難を乗り越えてきました。その3人の関係ですら、恐怖の感情を助長されることによって、脆くなってしまうのです。
この3人の仲間割れが表しているもの、それは「私たち人間の心は弱い」ということではないです。
ハーマイオニーの心の強さ
ハリーとロンの弱さ
ロンは特にですが、ハリーとロンはハーマイオニーよりも強く分霊箱の影響を受け、心の弱さが浮き彫りになります。
ここでハーマイオニーを代表とする女性の強さが表現されています。
男性だけでは成立しない世界
私たちの世界は歴史的に、男性が力で支配する時が多くあるでしょう。
しかし、男性だけではヴォルデモートのような恐怖の象徴に抗うことができないことを原作者のJ・K・ローリングは言おうとしているように思います。
男性だけではこの世界は成立しないのです。
聖書「創世記」のエバ
聖書の創世記2章18節(新共同訳聖書)には次のように書かれています。
主なる神は言われた。「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」
引用:聖書
この「彼に合う助ける者」とは、聖書ではエバまたはイヴと呼ばれる人類最初の女性とされています。
J・K・ローリングは聖書のこの部分を恐らく知っていました。そして、女性という存在の大切さをこのハリーたち3人の物語を通して伝えたい気持ちも強くあったと感じられます。
少なくとも、ハーマイオニーは仲間の分裂を引き起こすことはありませんでした。
まとめ 「ハリー ポッターと死の秘宝 PART1」が伝えたいこと
それでは弱い私たちはどうすれば良いのかということですが、それは3人の行動から学べます。
ロンは最終的に2人の元に帰ります。それもハリーのピンチの時に来てハリーを助けます。
冷静になり、元の目標である「恐怖の象徴であるヴォルデモートを倒し、世界を守る」を見つめ直し、3人は信頼関係を元に戻すことができました。
分霊箱であるロケットを3人が交代で持つということにも、深い意味があるでしょう。弱いからこそ、困難を1人で抱え込まないことが大事だということです。
本作は一貫してシリアスな雰囲気・危機感を観る者に感じさせるでしょうが、そんな中でも学べることは多く、以下にまとめることができるでしょう。
- 同じ目標に向かう仲間を持つ。
- 迷った時には冷静になって目標を再確認する。
- 困難を1人で抱え込まない。
そして、女性は男性を助けるに最適な存在ということです。