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「運動靴と赤い金魚」はマジッド・マジディが監督を務めたイラン映画で、1994年7月24日に公開されました。
モントリオール世界映画祭でグランプリを含む4部門を受賞し、第71回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品です。
今回は映画「運動靴と赤い金魚」からアリとザーラが新しい靴に喜ぶシーンを作品中で描かなかった理由を考察、アリの足に集まってきた金魚の意味を解説していきます!
また、タイトルにあるように、この記事は映画のネタバレを含みますので、その点はご注意下さい。
新しい靴のシーンが描かれなかった理由
ラストで、幼い兄妹に父親が靴を買って帰るシーンがありましたが、その後の喜ぶ兄妹の様子が描かれなかったのは何故でしょう?
その謎を紐解いていきます。
観客それぞれの想像に委ねる
映画のその後を決めるのは人それぞれ自由であっていいのです。
映画はイマジネーションの産物といえます。
その為、解釈は観ている人が100人いたら、100通りの解釈があっていいのです。
喜ぶ兄妹の姿が描かれなかったのは何故か?
それは映画の物語の続きは観客が作り上げるものだからです。
色々な解釈があってこそ、映画という作品は初めてそこで完結するといえます。
アリの気持ち
靴が手に入らなかった事を知った妹のザーラの落胆したような表情を見てアリも落ち込みました。
そこにお父さんが新しい靴を買ってきたらアリはどう思うでしょう?
ザーラは喜ぶかもしれませんが、アリにとっては妹の為に涙を流し先生に懇願してまで走ったマラソン大会。
父親が買ってきた新しい靴に表面上は喜ぶかもしれません。
しかしお兄ちゃんとしてのプライドが保てなかった事、ザーラとの約束を守れなかった事を考慮すると手放しでは喜べないといえます。
妹思いのアリですから、マラソン大会で靴を得るという約束は、二人の強固な絆の象徴でもありました。
しかし、アリはその絆を守る事ができなかったのです。
これがラストのその後が描かれなかった最大の理由と考えられます。
足に集まってきた金魚の意味
ラストシーンで水の中に足をつけたアリの元に赤い金魚がたくさん集まってくるという描写がありました。
これは何を意味しているのでしょう?
金魚は幸福の象徴
イランでは赤い金魚は幸せの象徴とされています。
金魚自体が縁起のいいものという概念があり、イランでは金魚は大切な存在として扱われているのです。
アリの足元に集まってきた赤い金魚は、もうすぐお父さんが新しい靴を買ってきてくれるよ、という伏線のようなものだといえます。