ルックスが良くて簡単に身体を許す松子は、まるで金のかからない娼婦のようです。

なぜ?変顔をする松子には過去に悲しいトラウマがあった

松子の貪欲に愛を求める行為や発達障害とも思える衝動的な行動は、幼少期の孤独な毎日や家族との関係が原因だったようです。

父親との確執、妹との関係から松子の過去を洗い出して、転落の人生の原因を考えてみました。

どうして妹だけを愛するの?家族の愛を求めた幼少期

松子の父親は、妹が大病を患ってしまってから笑わなくなります。

妹の身体のことだけを気にかけている父や母の姿は、妹ばかりで自分には目もくれない冷たい態度に感じたのでしょう。

いいようのない孤独感は、幼い松子には耐えられなかったのだと思います。

後になって父親の日記から、いつも松子を気にかけていた事実を知るのですが、まだまだ先の話です。

頻繁に出てくる川辺で1人で歌う場面。明るく歌う松子の姿は寂しい孤独感の裏返しのように感じます。

両方の靴をきちんとそろえるシーンは「私はきちんとしているよ、お行儀よくしているよ」と訴えているようです。

幼少期に愛情に飢えている自覚しか持たなかった松子は、その後の人生でもひたすら相手の愛を欲しがるようになったと考えられます。

父親を笑わせたい一途な思い

父親との唯一の楽しい思い出は、妹の見舞いの帰りに一緒に観劇をしたことです。

松子は笑わなくなった父親の前で、ひょっとこのように唇を尖らせ目を寄せた変顔を繰り返します。

「何とか笑ってほしい」自分の存在を気にかけてもらいたい必死の行動だったのでしょう。

何度目かの変顔で父親が笑ったことから、幼い松子は何度も同じ顔をして父親を喜ばせようとします。

松子にとって数少ない成功体験のひとつ。

これが癖になって、松子は成長してからも追い込まれたときに変顔になってしまうのです。

妹への愛と嫉妬の葛藤で精神を病む

嫌われ松子の一生

妹は、姉・松子を慕っていました。松子も妹を愛していたと思われます。

松子の中では、妹への愛と両親を取られた嫉妬の感情が、同時に沸き起こってくるのを整理できなかったのでしょう。

妹への愛と嫉妬

思春期を迎えたころ、嫉妬から妹を罵倒し家出をしてしまいます。

必死に止める妹。

自分が家族に愛されないのは「あんた(妹)のせいだ」松子の中で妹への愛と嫉妬が葛藤し心の許容範囲を超えたのです。

そしてこれが皮肉にも妹との最期の会話になりました。

松子は、幼少期の孤独感からくるトラウマと思春期における精神の葛藤から、発達障害のような衝動的な行動に走るようになったと考えられます。

男たちとの遍歴を繰り広げる原因のひとつではないでしょうか。

松子は必死に相手の愛を探る

家族の愛情に気づかなかった松子の幼少期の経験は、大人になってからの人間関係に影響します。

最初に交際相手や同僚の気持ちを探るのです。

自分からは思いを告げず相手の気持ちを確かめてから対応する受け身の姿勢になっていきます。

相手の顔色をうかがい自分がどう思われているのか確かめる松子。