ゴーストは移動が可能です。それは作中に出てくるゴーストハックからも証明されています。
ゴーストハックをするために、自身のゴーストが相手のゴーストをハッキングするまでの道のりが必要。その道のりはサイバー空間です。
サイバー空間を使うことができれば、ゴーストを移動させられます。
つまりサイバー空間が地球という一つの生命体の一部と考えれば、ゴーストは地球上のあらゆる人間にアクセスが可能ということになります。
だからこそ、デカルトの「精神と肉体は別物」の二元論が当てはまるのです。
生命の定義に照らしたときの「人形使い」
続いて「人形使いは果たして生命か」の謎に迫ります。作中で人形使いは自身が生命体であることを主張し、政治的亡命を要求しました。
しかし、それが認められなかったので人形使いのゴーストが入った義体は、6課からの抹殺を避けるため逃亡を図ります。
生命には様々な定義がありますが、大きく「自身を維持しつつ自身と同じもの、あるいは自身に似ているものを作り出すもの」と定義しましょう。
これを定義としたときに、人形使いはどう捉えるべきでしょうか。
「人形使い」は果たして生命か
人形使いはもとは6課が外交戦略のために作り出したAIです。AIが自我を持つようになって、制御不能と判断した6課はAIの抹殺を図りました。
ではその自我はどこから生まれたのかというと、人形使いは自身が「情報の海」から発生したものと語ります。
生命の定義で考えると、この一連の出来事により人形使いを「生命」と捉えることが可能です。
なぜなら情報が「人形使い」というデータ・情報を作り出したからです。人形使いはゴーストを持ち、自身と他者を区別することができます。
義体や肉体の意味がない作中の時代に、ゴーストを持っている人形使いの存在は生命と言わざるを得ません。
完全な生命を目指す
人形使いはまだ生命として完全体であるとは思っていません。その理由は「子孫を残す機能がない」「死がない」からです。
これらの課題を解決するために選んだのが「素子との融合」です。
結果的に素子との融合は完成し、子孫を残す機能や死、さらには感情を持つ新しい生命体が誕生しました。
そして新生命は、人形使いから見たときの生まれ故郷であるサイバー世界へと旅立ちます。
生命の定義から考えると、まさに「完全な生命」としか表現の仕様がありません。
そもそも人形使いを生み出したのは地球
ガイア理論に説明される地球の自己調節機能により、人形使いは生み出されました。人形使いの箱・義体となるのは6課が作り出したAIです。
もともと人間は地球という生命体の一部なのですが、自身の手でさまざまなものを作り出し、増加します。
これは地球から見たときの「ウィルスや菌」にあたるもの。
地球はそれらを減らすために、自己調節機能を働かせて人形使いというゴーストを生み出し、AIに乗り移らせたのです。
さらに、人形使いのゴーストが残る義体が6課からの逃亡を図ったとき、向かった先は海でした。
これは自身を生み出した地球に戻るための入り口が海であることを示しています。つまり、人形使いは地球の代理生命体であるということです。
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』という作品に込められたメッセージ
地球が一つの生命体であると考えたとき、素子が海に潜る理由、ゴーストという存在、人形使いを生命体とするかが説明できます。
現代社会は少しずつ『GHOST IN THE SHELL』の環境に近づいており、決して遠い未来ではありません。
しかし、その危険さについては十分な検証がされていません。だからこそ、さまざまな角度から未来を予測する必要があります。