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『007 カジノ・ロワイヤル』は、スパイ映画の金字塔『007』シリーズの21作目として2006年に公開されました。

イアン・フレミングによる原作小説シリーズでは第1作目にあたる本作は、6代目ジェームズ・ボンドとしてダニエル・クレイグを迎えています。

そんな新生『007』を彩るのは、それまでと一線を画したユニークな演出の数々と、“ボンド・ガール”ヴェスパー・リンドの愛と裏切り

なぜ映画『カジノ・ロワイヤル』には従来と異なる演出が目立つのか?ボンドにとってヴェスパーはどんな存在であったか?

映画ラストも含め、ひも解いてゆきましょう。

『007 カジノ・ロワイヤル』はボンドはじまりの物語

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結論から申し上げます。このカジノ・ロワイヤルは、冷徹な秘密諜報員にならざるを得なかったひとりの男の葛藤の物語です。

最後の最後まで出てこないあの名台詞

主題歌が冒頭に流れる従来と逆転した構造。これらの演出は、映画のテーマを表現するためのものと考えられます。

中でもボンドの葛藤を象徴するのが冒頭のモノクロ場面、そして本作のボンド・ガール、ヴェスパー・リンドとの関係性でした。

冒頭、映画はなぜモノクロで始まるか

カジノ・ロワイヤル (字幕版)

“00(ダブルオー)”のコードネームを獲得する条件、それは任務でふたりの人間を殺すこと。

冒頭、モノクロで映される場面では、ボンドが条件をクリアし、“007”となる過程が描かれています。

このシーンには、映画の主題を表す重要な意図が込められていました。

その鍵となるのが、モノクロの画面から彩色されたオープニングロールへの転換のタイミング、そしてボンドの隠された感情の揺らぎです。

赤く流れる血のタイミング

ジェームズ・ボンドに捧ぐ
モノクロのシーンからカラフルなオープニングロールへの転換となる、画面を赤く流れる血。

この血、実はふたり目の殺人の遂行=007の誕生の瞬間に流れたわけではありません

ふたり目の殺人のあと、場面はひとり目と格闘したバスルームへと巻き戻ります。男の息の根を奪う、ボンドの弾丸。

その瞬間、赤い血とともに流れ出す主題歌の“You Know My Name”。

彼のスパイという修羅の道が、ひとり目を殺めたときから実はすでに始まっていたことが分かります。

殺しを避けては通れないスパイの道を歩むのか、否か。

このあと続く映画の中で、ボンドがこの葛藤を抱え続ける伏線も、実はこの冒頭シーンの中に隠されていました。

ふたり目の殺人、画面に一瞬映ったあるもの

まず、ひとり目の殺人。ぐったりと横たわった相手の姿を見下ろす彼の目の奥には、感情の揺らぎがうかがえます。

そしてふたり目の殺人。ターゲットを銃の一撃で永遠に黙らせたボンド。もう殺人への抵抗はなくなったのか?その表情は冷静です。

しかし実はこのとき、家族写真のようなものが映っていたことにお気づきでしょうか?

それは、ボンドは引き金をひくショットと、ターゲットが撃ち抜かれるショットの間のほんの一瞬。

これはおそらく、ターゲットの家族を写したもの。殺された人物にも、人生があったという重みを感じさせます。

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