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ノーベル文学賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴの原作「The Double」を映像化した、ミステリー映画です。
今作ではスパイダーマンやナイトクローラーで主演を務めたジェイク・ギレンホールが一人二役を演じます。
「複製された男は」一度観ただけでは理解が難しい映画だともいえるでしょう。
一人二役で主人公が入れ替わり、演出には難解な表現もあるため無理もありません。
アダムとアンソニーの正体や自動車事故、そしてフロントガラスのヒビの意味。
ここでは映画だけでは劇中多くを語ることのなかったシーンの意味について解説していきます。
原題は「ENEMY」
邦題では「複製された男」というタイトルであるため、SFや悪の組織と戦うようなストーリーを連想した方もいるのではないでしょうか。
今作を前述のような思い込みで観始めてしまうと、大切なヒントのピースを見逃してしまうことになりかねません。
「複製されているんだ」「アダムとは別の存在なんだ」という思い込みは捨ててしまいましょう。
アンソニーという存在は自分を支配する敵なのか、どういう存在なのかに注目すると理解が深まっていくかと思います。
アダムとアンソニーの正体とは
アダムという陰気な大学講師の登場から物語はスタートします。
後に鳴かず飛ばずな役者であり、アダムと瓜二つのアンソニーが登場することで事態は一変。
二人は対峙し物語の終盤二人は入れ替わり、ヘレンとメアリーまで巻き込む事態に発展します。
二人の関係性とは?正体は何なのか考察してゆきましょう。
二重人格者
「複製された男」はアランという二重人格者の大学講師の物語です。
アンソニーとは夢見ていた映画役者であり、ひた隠している性欲や浮気癖を解放する映し鏡のような存在。
アダムはなりたかった自分を二重人格という形で実現しているのです。
解離性同一症とは
解離性同一症(憑依型)という病気には、まさしくアランのような症状が引き起こされます。
多重人格の他に幻覚や健忘など、自分の行ったことを「自分じゃない」と思い込むそうです。
劇中のホテルでアダムとアンソニーが対峙するシーンや、彼らの日常はまさにそのものだといえます。
アダムが決断を下すまでは、「支配する敵」とも「支配されている敵」とどちらとも受け取れる関係といえるのではないでしょうか。