しかし、アナに恋の予感はあったのでしょう。服が乾く間にそれは決定的になり、一目惚れ状態になったのです。
自分の心にポッカリと空いた穴を埋めてくれる人、飾らない素直な性格。一目惚れは突然やってくるものです。
ひとことで言えば、ウィリアムはアナを女優扱いしない、有名人を観る目つきをしない自然体な男性だったことに惹かれたと解釈できるのです。
それまでのプレイベートのない窮屈な生活の反動かもしれません。
いきなりのキス
こぼしてしまったジュースが乾く間、ウィリアムの家にいたアナは一旦家をでるものの、「買った本を忘れた」と戻ってきます。
そしてふたたび家を出るとき、いきなりウィリアムにキス!一目惚れを象徴するシーンです。
ウィリアムも観客もビックリです。目の前に大女優が現れるのだけでもあり得ないのに、キスなんて!
行動的なアナと腰が引けているウィリアムの対比はこのあとしばらく続くのですが、このキスシーンはその伏線といえるでしょう。
ウィリアムと他の男との違いとは
2人の恋愛の速度の差にイラつく友人(観客も)。
積極的に体当りし、思いをぶつけていくアナに対し、どうも今ひとつ踏み切る勇気が出ないウィリアム。
そんな男にアナは惚れてしまったのです。他の男と何が違ったのでしょうか。
一人の女性としてのアナ
女優としての窮屈な生活、また女優ならではの悩みや苦しみに、心が折れる寸前だったアナ。
ウィリアムに出会ってからも彼の友人や家族はあくまでもアナを女優として見ています。
しかし、ウィリアムは少し違いました。
アナを住む世界の違う人と、最初から構えていなかったのか、接する人によって自分を変えない性格だったのか。
はたまたタダの鈍感な男だったのか。それは映画が進むに連れて分かっていく構図となっています。
ただ言えるのは、ウィリアムは人を外見だけで判断しない、計算づくで人と接しないので、アナにとって心地良かったのでしょう。
でも恋愛に対して臆病
一方、彼はアナを愛していながら、住む世界の違いや暮らしのレベルなどを想像してしまい、一歩前に出る勇気がないのです。
バツイチだ、ということもウィリアムをして恋愛に対して腰を引かせている理由かもしれません。
愛を失うことが怖かったとみることも出来ます。
積極的にウィリアムに愛を告白するアナに対して、臆病なウィリアムに観客はイライラすることでしょう。
それがスパイクら友人の手助けのプロットも加わりラストの記者会見に向けての大きな伏線となっているところです。
結果的にウィリアムは勇気を振り絞ってアナを女優としてではなく、一人の女性として求愛する決意をしたのでした。
アナを一人の女性として見つめる。そこが他の男との違いだったのです。
アナの決定的なセリフ
ようやく二人のゴールが見えてきます。しかし、その前にはまだまだ超えなくてはならないものがありました。
永遠に上下する開かないエレベーターのようにすれ違ったままなのか、そう思わせておいて、事態は一気に転換していきます。
アナが撮影の為再びロンドンを訪れた際、彼女は書店を訪ね、ウィリアムに求愛します。
しかし、前にも述べたように、ウィリアムは彼女をフッてしまうのです。住む世界が違うと。(それは建前で、実は怖いのでしょう)