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本記事では二階堂ふみさん、浅野忠信さん出演の映画「私の男」について考察していきます。
本作は禁断の愛、近親相姦を描いた作品として話題になりました。
心に傷を負った少女がどのようにして大人になっていくのか、幼少期に追った傷がどう人生に影響していくのか。
そんなことを考えさせられる作品になっています。
妙にフォーカスされた意味深なペットボトルのシーンが意味するものとはいったい何なのでしょうか。
そして、思わず目を離せなくなる血の雨の演出について、その意味を徹底解説します。
冒頭シーンを解説
お待たせ致しました。それでは早速、冒頭のシーンを解説していきましょう。
描かれる被災の傷
この映画は津波によって生まれた混乱を描く所から始まります。
主人公の花にとっては、幼い頃の悲惨な経験。家族を失った悲しみは、これは彼女がこれから歩む人生に大きく影響を及ぼします。
また本場面は、次項で解説するペットボトルが印象的なシーンへの伏線です。
この場面が丁寧に描かれているからこそ、今後の枯渇した花の状況が活きています。
つい目を背けたくなるような被災地のリアルな描写が続きますが、今後の展開のためしっかりと確認をしておきたい場面といえるでしょう。
ペットボトルの水を飲まなかった理由
悲惨な状況の中、花は水の入ったペットボトルを大切に持ち歩いています。
本シーンではこのペットボトルがキーワードです。
被災地では物品の供給が断たれ、お腹いっぱいの食事が取れない状況であることが推測できます。
そのような状況のため、おそらく花は喉が渇いているでしょう。
しかし彼女は幼い年齢にも関わらず、水を飲まずに抱えて歩いています。
これは、まだ大丈夫。まだ飲まなくても生きられる…。そんな生に執着のある姿が見て取れますね。
また通常なら簡単に開くことのできるペットボトルのキャップ。開けられないほど疲労していると考えられます。
独占欲にも似た感情の芽生え
この時期に心に傷を負った花は、ここからどんな風に成長していくのでしょうか。
ペットボトルを抱えて離さない花の姿からは、ひさむきさ、意志の強さを感じる一方で、どこか危うげな執着心が感じられます。
実はこのシーンが後半にかけてとても重要な伏線となっていて、最終的に淳悟を独占したいという気持ちとリンクする考え方とも受け取れるのです。
つまり、これが後の花の生き方に大きな意味を持つことになります。
今後登場する花の淳悟に対する愛情はある種独占欲に似た感情であると考察できるでしょう。
中盤のシーンを解説
ここまでは物語の印象を決める冒頭シーンについて解説してきました。
被災地のリアルな惨状から花の独占欲の欠片に至るまで、彼女の言動を考察できる場面だったことが分かります。
ここからは中盤のシーンを解説に進みましょう。
花の表情から想像しうる未来
ここで初めて登場するのは男女関係を描いたシーンです。そして、その後注目すべきは花の表情でしょう。
彼女は他人にはいえない行為があった翌日とは思えない、スッとした表情で登校します。
特に描写はありませんでしたが、男女の関係があったことやその相手が父親であったことは学校の友人には知る由もないでしょう。