将来の花の堂々たる態度を予測させるシーンとして重要な役割をしているのです。

この場面では通常の学生とは一風変わった一面を感じることができ、花がこの先どんな大人へと成長していくか不安さえ感じさせます。

流氷の殺人

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花は引き留めてくれた相手を手にかけてしまうのですが、このシーンから考察できるのは彼女のねじ曲がった愛情です。

被災していた頃に比べれば成長したものの、年齢は16歳から18歳程度でしょう。

幼い頃に家族を亡くした経験から、普通の家族の在り方を知らずに育った彼女。

淳悟から受け取る曲がった愛を、家族の愛と誤認してしまったのかもしれません。

老人はそれを正そうとしましたが、数年に渡り築き上げられた価値観を変えることは難しかったようです。

少なくともこれが原因で強い欲望や狂った愛情を抱くようになったと推測できるでしょう。

このシーンからは、幼い頃の経験がそれ以降の性格の形成に重要であることが分かります。

共犯となった2人に芽生えた新たな絆

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ここで言及したいのは花と淳悟が共犯となるシーンです。

文字にすればただそれだけの場面ですが、ここでは様々な要素が散りばめられているのです。

中でも印象的なのは、彼らの罪に関する意識ではないでしょうか。

殺人を犯したことは世間の明るみに出ることなく物語は進行していきます。

殺人と親子間での恋愛。別のことのようにも取れる出来事ですが、2人にとっては愛に準ずる行為として描かれているのです。

また1つ秘密を共有することになった2人からは、親子を超えた特別な絆が生まれたようにも感じます。

この出来事は花と淳悟の家族の絆を強固にするイベントとなったといえるでしょう。

血の雨の演出に込められた意味とは

こちらの映画では2度に渡り二階堂ふみさん演じる花と、浅野忠信さん演じる淳悟が男女の関係を持つシーンが登場します。

この時演出で登場するのが血の雨です。

画面いっぱいに血が付着し、とにかく赤色が印象に残る本場面。映画を見たあなたにとってかなり印象的なシーンだったのではないでしょうか。

生物としての欲望のまま行為に移る2人は表情にこそ出しませんが、お互いに近親相姦は良くないことという背徳感を感じているようです。

また、雨は止まっているものではなく流れていくもの。花と淳悟は、父と娘を越えた今の関係に上記のような背徳感を感じているのでしょう。

その一方で罪を洗い流してほしいという気持ちも持ち合わせているようです。

彼女たちにとっては父娘の考える家族像が正義ですが、2人が共有している秘密は男女の関係だけに留まりません。

そんな矛盾とも取れる、心の奥の感情を表現したシーンといえるでしょう。

本シーンは父と娘の禁断の愛を映像としては傷を負うほど生々しく、そして一方では美学のごとく優美なもとして表現しているといえます。

終盤のシーンを解説

ここまでは中盤までの場面を解説してきました。

垣間見える歪んだ家族の形と、花と淳悟の関係性が考察できる場面が目白押しでしたね。

ここからは終盤にかけて登場するシーンを考察していきます。

なぜ口パクだったのか?

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成長した花が婚約者を連れ淳悟に合わせるシーンが登場します。

これまでの2人の関係と彼らの罪を知っている視聴者にとっては、今後の展開に目が離せない重要な場面ですね。

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