だからこそ、千載一遇の機会と言わんばかりに寄生したと思われます。
クラトゥが地球を救おうと決心した理由とは?
クラトゥに寄生した地球外生命体、彼は突如として地球を救おうと決心するのですが、何故そう決心したのでしょうか。
頭の片隅に残るMr.ウーの調査報告
クラトゥはMr.ウーの調査報告を元に人類を滅ぼすことを決心します。
調査報告の内容の殆どは人類は非常に利己的で破壊的であるという内容でしたが、それだけではありませんでした。
人類に対して好意的に感じる部分があることもMr.ウーは報告していたのです。
クラトゥはMr.ウーの調査報告から総合的に判断して、人類を滅ぼすという決断を下したことに間違いはありません。
しかし人類に対するポジティブな報告も評価していたのかもしれません。
元々クラトゥ自身は単なる人間の男性に過ぎませんから、少しでも残っている情動が判断に影響を及ぼしたとも考えられます。
度々、説得されるクラトゥ
ヘレンの共同研究者であるバーンハート教授や、ヘレンにも人類を滅ぼすことを辞めるよう説得されるクラトゥ。
彼に彼らの想いが伝わったのかもしれません。
前述した通り、以前は人間の男性だったクラトゥですから、女性であるヘレンに多少の恋心を抱いてもおかしくはないはずです。
ヘレンからのというよりも、出会った人間の気持ちや言動によって地球を救おうと決心した可能性が高いかもしれません。
一方で、恋心があったとしてもおかしくはないでしょう。
絶滅の危機からの変化
クラトゥはバーンハート教授の言葉から人類は絶滅の危機に瀕していることを知ります。
そして、今は変化の最中にあるということに心打たれのは間違いないでしょう。
クラトゥに寄生した地球外生命体自身も、太陽を失いかけたことから種の存亡を懸け変化を遂げた過去があったのです。
勿論、バーンハート教授の言葉だけなら決心しなかったであろうクラトゥ。
それをヘレンの行動によって目の当たりにすることで変わったのだと解釈できます。
ジェイコブの懇願
ジェイコブは、死んだ警官を生き返らせたことからクラトゥに父さんを生き返らせて欲しいと頼みます。
クラトゥは生き返らせることを拒みジェイコブは涙するのですが、そこに継母のヘレンが駆けつけるのです。
このシーンが、クラトゥにとって地球を救おうと決心した最も大きな要因であることは間違いないでしょう。
Mr.ウーの言葉を思い出すあたりも、これまでの考察と筋が通ります。
クラトゥは、人類が争うのではなく排他的に協力し合い、互いを愛することが地球を守る唯一の方法であると知っているのかもしれません。
非常にメッセージ性の強いこのシーンは、僕らにも地球環境を考える上で大切にすべきシーンでしょう。
ジェイコブの役割とは?
本作品では、ヘレンの邪魔をしたりクラトゥに我がままををしたりと、鬱陶しい存在でもあるジェイコブですが、彼の役割とは一体何でしょうか。
継母であるヘレンとの関係性
序盤シーンでジェイコブは、ヘレンの元旦那の連れ子であることが判明します。
この関係性がクラトゥの心境の変化に影響を与えたことは間違いないでしょう。
元々、ジェイコブは継母であるヘレンに心を開かず、いうことを聞かない子供として映し出されています。
そんなジェイコブはヘレンとクラトゥと生活を共にする中で、徐々にヘレンやクラトゥに心を開いていくのです。
この成長過程が、地球を救おうと決心するキッカケになったことは間違いないでしょう。
もしもジェイコブがお父さんを亡くしていなければ、更には、ヘレンが継母でなければどうなっていたのでしょうか。
このジェイコブとヘレンの関係性が、SF作品にも関わらず、ヒューマンドラマ的に仕上がっている要因かもしれません。
自分勝手なジェイコブは、現代の人間を表しているのかも
SNSの発達やIT化社会になった現代では、昔よりも人と人との繋がりが薄くなったように感じる人も多いのではないでしょうか。
「いいね」の数を上げようと躍起になる人や、SNSでの見栄えに囚われる人など、今やインターネットとは切っても切り離せない状態です。
また、難民問題や、未だ絶えることのない戦争や紛争の数々、そういった問題を引き起こしているのは人間です。
他人の気持ちや考えを尊重せずに身勝手に行動する人間に一番の原因があるのかもしれません。
ジェイコブは、そんな現代の人間を皮肉する存在として描かれているとしたらいかがでしょうか?