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『グラン・ブルー』は、リュック・ベッソン監督がメガホンを撮った、1988年公開のフランスとイタリアの合作映画です。

実在するダイバーであるジャック・マイヨールの協力を仰いで作られた、フリーダイビングをモチーフとした映画となっています。

ジャックはそのままの名前で登場し、こちらも実在しているダイバーであるエンゾ・マイオルカをモチーフとしたエンゾ・モリナーリとの間の友情を描きます。

さらに軋轢、海への拘り、そしてジャックを愛したジョアンナ・ベイカーとの愛が主題の映画です。

映画の結末は衝撃的で、エンゾとジャックは2人とも母なる海に回帰してしまうかのように深海へと消えていきます。

ジャックに至っては、恋人関係にあったジョアンナを置いて海へと消えてしまうのです。

この記事では、なぜエンゾは命を失うことになっても海に潜ることにこだわったのかを考察してみましょう。

また、ジョアンナはなぜ愛するジャックを最期のダイビングに送り出したのか、真意と結末の意味について解説していきます。

物語を動かしていくエンゾ

エンゾの執念

まずは、主人公の1人であるエンゾについて理解する必要があります。

作中でエンゾは負けず嫌いのキャラクターとして描かれています。

その負けず嫌いは映画全編を通して発揮されており、幼少期に唯一ダイビングで勝てなかったジャックに対しての執着が物語を動かしていくのです。

エンゾは大人になってからも、ダイビングの大会での賞金を使ってジャックの行方を探し続けついに再会してダイビング記録の勝負を挑みます。

世界のどこにいるかもわからないジャックを探し続け、勝負にこだわる執念こそ、エンゾがフリーダイビングにこだわり続ける理由でしょう。

このこだわりは、ついには命をも失ってしまう最期のダイブにもつながっていく重要なファクターとなっています。

エンゾとジャック

とはいえ、エンゾとジャックの関係はギスギスしたライバル関係では決してありませんでした。

負けず嫌いで明るいジャックとは対照的に、ジャックは物静かで人付き合いをするよりはイルカと戯れていたいキャラクターです。

そんなジャックが、突如再会したエンゾの求めに応じてフリーダイビングの大会に出場を決めたのは何故でしょうか。

人付き合いの苦手なジャックが大会の舞台に立つというのは、大きな決意が必要になることでしょう。

それにも関わらず、ジャックはエンゾの求めに応じ続けたのです。

エンゾとジャックの友情

エンゾとジャックの性格の違い

何かの大会に出る競技者は、たいてい自分の技量に強い自信を持ち、結果が悪くてもへこたれない強い精神の持ち主でしょう。

そう、この映画でいうエンゾのような強さと負けず嫌い、つまり勝利への執念を持つ人です。

しかし、ジャックは違います。

ジャックは海に潜り、イルカと戯れていられればそれで良く、記録にも栄光にも賞金にも全く興味のない性格です。

仮にどんなに仲が良い人に求められたとしてもそれだけで大会への出場を決めるでしょうか。

ジャックが公の舞台に立った理由とは

海の記憶を求めて

この映画では、そもそもジャックが大会に出場することを承諾しなければ物語が始まりません。

何故消極的なジャックが大会への出場を決めたのか、この疑問を解決するにはエンゾとジャックの関係を考察しなければならないでしょう。

劇中では、エンゾの出した世界記録をジャックが更新し、そのジャックの記録をエンゾが更新する…といった、記録のやり取りが描かれていきます。

ジャックの見ている海中の光景を共有できるのも、より深く潜り続けたいという欲求を理解してくれているのも、この作品の中ではエンゾだけなのです。

内気なジャックが大会に出続けた理由は、互いの海へのこだわりを理解し合える無二の存在と認識していたからだと考察します。

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