ケイトの訴訟作戦は兄妹三人の秘密でしたが、アナの証言中にジェシーがケイトの訴訟計画について真実を話したのです。
ジェシーがケイトの肖像画を破ったわけ
ジェシーは芸術面に興味を抱き始めていたので、ケイトの肖像画を描きプレゼントしています。
ジェシーは二人の妹からは蚊帳の外で放置されがちで、ケイトの肖像画を描き励ませることで自分の存在を示したかったはずです。
しかし公判でアナだけが矢面に立ち戦う姿を見て自分にできることを模索し、ケイトとの約束を破る意味でケイトの肖像画を破ったのでしょう。
ジェシーの決心が二人の妹を守る
ジェシーが真実を話さずそのままアナの訴訟が勝てば、ケイトは自分の望んだ安らかな死があったでしょう。
しかし、逆にアナはサラから一生恨まれていたかもしれません。
ジェシーの告白はサラにケイトの死を受け入れさせ、アナとサラの母子関係に亀裂を与えず救ったともいえるのです。
ケイトの死と家族の未来
「アナ」の生い立ちからしてなんともいえない気持ちで観はじめた本作品でした。
展開は表面的な家族愛でオブラートに包まれヘヴィーなイメージは薄れますが、この家族のゆくえ子供たちの人生はどうなってしまうのか?
徐々にそんな思いになり、最後には「幸せ」に導てほしいと願わないではいられません。
ケイトが命かけた計画で家族の危機を救う
重篤な病になってしまったことは誰のせいでもありません。しかし、そのことで家族間で自己犠牲が生じて歪ができてしまったのも事実でした。
ケイトは思い通りにならない身体や生き方を選択できない虚しさを抱えながら、2人の兄妹に思いを馳せていたのでしょう。
アナには自分の命を救うために作られたスペアという感覚を与えてしまい、ジェシーには両親の愛を奪った負い目を感じました。
ケイトは安らかな死を求めると共にそれらの状況を命をかけて修復してから最期を迎えたかったのです。
ケイトの死を受け入れたサラ
公判の証言でアナにしてきた無理強いの数々を連ねられれば、単純に「ケイトのため」だけでは済まされない行動だったと気づくはずです。
つまりこの訴訟は自分の行動が二人の娘の命の尊厳を傷つけていたと気づかせたでしょう。
そして、ケイトの死を受け入れたことでジェシーとアナの二人の子供と一緒に過ごせなかった時間を取り戻すきっかけになりました。
「私」の中のあなたとは
ケイトにとっての「あなた」は両親と兄妹のことで、家族一人一人の中の「あなた」はケイトという目線で描かれています。
そして、家族それぞれがケイトを思いやり、死にゆくケイトも家族を思いやることで家族の新出発を導く感動的なヒューマンドラマでした。
この映画を観たあとあなたは「あなた」の中に家族を思い浮かべましたか?
もし、思い浮かべたのでしたらあなたが“生まれてきた理由”を、その家族を愛しその家族から愛されるためと知るでしょう。